「通りみちのある家」
母屋を含む南北に広い敷地のハナレを建て替える計画。建物は従来と同じく南北の庭を残して配置し、メインの白いボリュームの上に透過性のある木の屋根/壁をそっと被せたような構成です。外部の「通りみち」は、東側の敷地内通路横に平行に設けられ、両親が選択的に立ち寄れることを意識した場所となっています。本体の切妻屋根が連続して張り出した2層分の吹抜空間で、屋根を透明素材でつくり支持する壁を木製ルーバーにすることで、まもられながらも光や風を取り込んだ場所です。内部は、勾配天井の垂木を現しとして、梁上を開放することで各室を上部で一体的にしています。軒先まで大きく張り出した垂木は、棟木とそれを支える束をなくすことでより印象的な存在になり、「通りみち」にまで連続して内外をつないでいます。
写真:谷川ヒロシ
南北の庭との関係、「通りみち」と呼ばれる土間で育まれる両親との関係、内外で連続する現しの垂木
両親宅と同じ敷地内に建てるため、つかず離れずの関係をつくることを検討しました。両親宅とは離れたとろこをエントランスにしたいとの要望でしたが、気軽に立ち寄って声を掛けられる場所が必要だと考え、「通りみち」となる開放的な土間をつくりました。玄関と庭を合わせたような場所になり、人が自然に集まってコミュニケーションできるようになったと思います。
既存の庭木は手入れが大変とのことで、この家づくりをきっかけにできるだけ無くすことも検討されていました。しかし、両親宅との間でほどよく視線を調整する役割もあり、なにより良く手入れされた庭の魅力をできるだけ残すことを提案しました。庭の木々は手が掛かるかもしれませんが、家も同様に手を掛けて愛されて行くことを願っています。
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