主要駅から少し離れた郊外住宅地。
敷地のある町内のブロックは、ほとんどの建物が北側に寄せられて建ち、南側の隣地に建つ住宅が迫っています。
そのため南側に東西方向に陽の当たらない庭が繋がる町のヴォイドがありました。
敷地は、北側道路に接道して間口が狭く奥行きの深い土地です。
北側に駐車場を造ると、グランドレベルに陽は当たりません。
そこで、1階には水周りと家族のクローゼット、生活の中心を2階レベルに持ち上げました。
そして町のヴィオドを狙って、建物を貫通する穴を3箇所開け、住宅全体の環境を整えることを試みました。
玄関と水周りの間に、リビングとダイニングの上部に、リビングの延長に、3箇所の建物を貫通する穴は、この住宅に町のヴォイドから光と風を間接的に享受します。
設計担当:納谷学、滝沢茂雄
構造設計:かい構造設計 寺門規男
施工会社:米村工務店 米村謙一
構造形式:木造在来工法二階建て
延床面積 :78.05m²(23.61坪)
1階面積 :30.40m²(9.20坪)
2階面積 :47.65m²(14.41坪)
掲載誌 :住まいの設計
①駐車スペース
前面道路に大きく5mほど跳ね出した2階、駐車スペースの屋根になります。
②借景
建物の横に穴を開けて光を取り入れ、隣地の緑を借景としています。
③ロフト
たくさんのロフト空間が、狭小住宅とは思えない広がりと生活に豊かさを提供します。
間口が狭く奥行きの長い敷地形状の上、南側の隣戸が敷地境界線まで迫って陽が当たる時間が少ない敷地でした。
一般的に建物を北側に寄せて計画すると、陽の当たらない(使えない)南の庭ができてしまいます。
そこで、建物を縦長に計画して、横から光や風、借景を享受できる様に計画しました。
大きく跳ね出した2階、「柱がなくて大丈夫?」と、問われました。
もちろん、構造計算をしっかりとして、材料の寸法や補強の仕方を決定して、現場では正しい材料がきちんと設計通りに取り付けられているか細かく確認して造りました。
実際構造が組み上がった後にクライアントに見てもらうと、
「これなら大丈夫!」と、言われました。
私も、「でしょ!」と、応えました。
設計事務所は、ハウスメーカーではできない技術やノウハウを持っています。
クライアントの要望を実現するため、その技術を最大限活かします。
プールの飛び込み台?
大きく跳ね出した2階、そのままです。
滝沢茂雄(元スタッフ)
かい構造設計 寺門規男
米村工務店 米村謙一