改造を前提とした、7人と犬の家族のための住まい。
設計にあたっては、成長し順次巣立っていく子供達のスペースのあり方、各々が持ち込む荷物の捌き方、毎日の食事や友人を招いた食事会ためのキッチンの形、飼い犬と共に過ごす為の工夫、落ち着いた大人のスペース、それらを限られた予算内でどう実現するか、忙しくも楽しい家族のための住まいについて、ともにアイデアを出し合い計画をすすめた。
成長による変化に対応する子供達の居場所として、中2階~2階に仕切りのない大きな空間をつくった。柱や屋根の勾配、奥行から生まれる空間の分かれ目を利用しながら、子供達が家具の配置を工夫し個々の居場所を創っていけるようにしている。バルコニーのある中2階は玄関やリビング、玄関前の路地など色々な場所とつながる、子供達のためのパブリックな場所である。それぞれが友人を招き、吹抜け越しに家族と会話したり、路地を通る来客を待ち構えることができる。
1階は、荷物を捌くのに便利な大きな土間から、家族の郵便物や学校の便りなどを保管する情報コーナーを経て、キッチン・リビングへと到達できるようにした。道路~路地~土間~リビングに到る奥行のお陰でプライバシーが確保されておいるため間仕切りはなく、玄関の吹抜けから光が入るため、奥まっていても明るさがある。
夫婦の居室は、子供部屋やリビングのある建物本体とは枝分かれした別棟に、浴室や洗面所と共に設けた。賑やさと距離を置いた、落ち着きのある居場所にしている。また、庭越しに家族室や子供室の様子をうかがえる、家の運営者たちの基地の役割も担っている。L字状の本棟・夫婦棟に挟まれた庭は犬のための場所でもある。
室内の仕上は壁も天井も殆ど木や合板である。これから成長し変化する家族の状況にあわせて、DIYの得意な住まい手の改変が可能なような仕上材にした。引渡し前からから住まい手の改造は始まり、様々な工夫が加えられて変化しつづけている。
・ローコスト住宅。無理のない構造計画、素材の種類を絞り、家具をシンプルなものにする、サッシを既製品にするなどの工夫でコストを抑えつつ、塗装色のバリエーションやサッシの配置位置の工夫で均質でない空間をつくっている。
・将来的な改変希望への対応。子供室は区画された個室を用意せず大きな空間を用意して、子供達が家具配置などを考えて自分の空間をつくり、改変できるようにしている。またDIY好きな施主のために、仕上材をクロス+石膏ボードとせず、合板などDIYしやすいものにした。
・通風や採光などの居住性能。
採光の得にくい路地奥の旗竿敷地だったため、吹抜けや屋根の角度等で敷地の奥にある部屋にも光が回り、通風がとれるように工夫している。
栄伸建設
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