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記事作成・更新日: 2014年 3月 1日

都市の”間”で遊びをつくる。DIYで再生させた空き家で、日独の文化交流をおこなう「ハウスハルテン日本の家」

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ドイツのザクセン州にある旧東ドイツ・ライプツィヒ。近年アーティストや若者たちが 移り住み始め、第二のベルリンとして注目を集めている都市です。

しかし、以前ここは経済の停滞と人口流出による問題に直面していました。1930年人口は約71万8千人を最大とし、1998年には過去最低の約43万7千人を記録。現在は緩やかに増加し、約52万人となっています。衰退していた時期を乗り越え、どのように魅力的な都市へと変貌したのでしょうか。

空き家を再生し、有効活用!

ライプツィヒは1990年以降東西ドイツ統一に伴い、経済の停滞と大規模な「西側」への人口流出によって、多くの空き家が発生し、2000年代になると、空き家問題を解決するため、市内の状態の悪い建物が取り壊されました。ところが、その中には歴史的価値の高いものも含まれていたため、そのような建築物を維持する方法が必要であるという声があがります。

そこでライプツィヒの「HausHalten.eV.(以下、ハウスハルテン)」 が立ち上げられました。「ハウスハルテン」とは市内の空き家を取り壊さずに維持、あるいは再生することを目的とした活動を行っている市民団体です。空いている空間における利用価値の可能性を探り、所有者と使用者の双方のメリットをうまく仲介しながら、空間を保全する取り組みを行っています。

つまり、空き家の所有者は、建物の維持管理費を免れ、ヴァンダリスムと呼ばれる建物破壊行為による建物のダメージを未然に防ぐ事ができ、また空き家の利用者は、原則家賃負担なしで、自分たちの活動や生活に使える空間を得る事ができるのです。 昨今では「ハウスハルテン」は都市の状況に応じて柔軟に活動形態を変えているようですが、市内の空き家再生の重要な役割を引き続き担っています。

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工事中のようす

DIYでつくられた文化交流の場

その「ハウスハルテン」に申請をし、日独の文化交流及び地域再生プロジェクトを主な活動として、2011年にライプツィヒにて立ち上げられたのが「Das Japanische Haus e.V (以下、日本の家)」です。

ライプツィヒ大学博士課程の大谷悠さんと建築家のミンクス典子さんらが中心となり結成されました。空き家を単に使用するだけでなく、文化交流の場として有効活用する「日本の家」の企画は、「ハウスハルテン」の空き家利用審査をすぐに通過。

しかし「空間」を所有する許可はすぐにでたものの、そこを人が集う場にするまでには、時間や労力ももちろんかかったのだそうです。当初その「空間」は全くの手つかずの状態で、廃墟そのもの。しかし、「ハウスハルテン」からリノベーションの道具やノウハウのサポートを受けながら、試行錯誤しつつもやりたいことをできる場へと作り上げていったのです。

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日本食イベントにて

こうして、DIYによって自分たちの手で作り上げた「場」を通じ「日本の家」では、様々なシンポジウムやセミナーを主催しています。

これまでに、東日本大震災と福島原発事故に関するディスカッション、日本のサブカルイベント「オタクの日」アート展等を開催。また、自分たちの暮らしやすい都市づくりについて考えている人のため、ライプチィヒにおける地域計画と都市の<間>の活用プロジェクトの情報発信をドイツ語及び日本語でも積極的におこなっており、その活動は多岐にわたります。

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「マンガフェスティバル」の会場

そして2014年から「日本の家」はドイツだけにとどまらず、日本へと活動の領域を広げ始めました。今年3月15日から23日にわたり、公共空間の新しい活用の試みのため、北九州の小倉でワークショップが開催となるのです。

これは公共空間がそれぞれ持つ固有の魅力を最大限に生かすための企画・運営を体験するコース。実際に町づくりを仕掛けてみることや、施設などの場を有効活用することに興味のある人にとって、まさに魅力的な内容ですね。

「日本の家」は負に捉えられがちな対象である「空き家及び廃墟」を、自由に使える空間として視座を変え、自分たち自身で手を入れることで都市の<間>に自由な「場」を作りあげました。

ライプツィヒをはじめ、経済停滞や人口流出が起きた地域には、衰退の象徴である空き家や廃墟がまだ多く存在しています。

行政や企業ではなく、そこに住んでいる人が都市の再生に関わっているライプツィヒの地域再生の例は、私たち一人一人が自分たちの住む地域をどのようにより良くしていくか自発的に考え、実践するきっかけとなりそうです。また、お金をだして買うのではない、自分たちで創れる豊かさとは何なのかを、私たちが改めて考えるきっかけとなるのではないでしょうか。

(Text: Fujiko Yamamoto)

写真© Das Japanische Haus e.V

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