敷地は都心の住宅街に位置し、敷地延長17mの旗竿敷地である。敷地の南西側は、計画当初は更地であるが、既に分譲地として売り出されているため、近い将来、住宅が近接することが予想される。また、他の隣家も老朽化が進んでおり、立替えが予想されるため、外部に対して開口を開きすぎることは、将来的に住宅のプライバシーの確保が難しくなると考えられる。そのため、将来の周辺建物の立替に影響を受けないように、内部への光の取り入れ方や、プライバシーの確保を考慮しておくことが必要な敷地といえる。
このような条件から、計画建物は、前面道路から17m続く旗竿敷地の特性を生かした空間と、近い将来、住宅が密集することが予想される敷地においての建物の在り方を模索している。
建物は旗竿敷地の特性を最大限に生かすため、竿の部分の長いアプローチ空間を建物内部へと連続していくように、玄関、廊下、階段、更に屋上テラスへと続く一体的な螺旋状の導線空間を設け、その導線の内側に居住スペースを設けている。
また、敷地は第一種高度斜線がかかり、周辺は高い建物が建たないことから、上部からの採光の確保が有効と考え、螺旋状と導線空間の屋根の全てをガラスとして、屋外のようなの採光を建物に取り入れ、その内側に設けた居住スペースへと光を導いている。
1階は寝室、水廻り、納戸を設け、外部に対しては必要最低限の小窓としている。また、ガラス屋根の導線空間に接する壁面には内部の開口を設け、柔らかい光を室内に取り込んでいる。2階はLDKのワンルームの空間として、屋上テラスの中心に設けられたトップライトの光と、導線空間のガラス屋根からの取り入れられる光を間接光として室内へ取り込んでいる。
内部から連続的に続く外部階段によって繋がる屋上テラスは、周辺の建物に影響が受けにくい眺望の開けた空間となっている。
旗竿敷地のアプローチ空間から、室内、さらには屋上へと繋がる螺旋状の導線空間を、居住スペースの廻りに設け、その導線空間をガラス屋根の半屋外空間とすることで、隣地が接近する敷地において、建物内部に豊かな光と、旗竿敷地の特徴を生かした、外部から連続性のある空間を持つ住宅が実現している。
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