西荻窪にあるバス停の前に計画した住宅です。
当初、クライアントは木造で予算を考えていましたが、敷地前のバス停のの発着の音が心配ということで、鉄筋コンクリート造の住宅をお勧めしました。バスのルートになっている東側道路に閉じて道路側からの音を遮断して、内側に縦に深い光井戸を挟んで開放的な居住空間を提供しようと試みました。
構造は、鉄筋コンクリート2層の上に木造で3層目を乗せています。
2階のダイニングキッチンからは光井戸を介してリビングの様子が見え、リビングからはダイニングキッチンはもちろん、1階のプライベートルームとコンタクトが取れます。
光井戸が二つに分かれた居住空間に単に光や風を届けるだけではなく、外部から家族を守り、コミュニケーションを介する積極的な外部空間になればと思います。
設計担当:納谷学、相田宗徳
構造設計:かい構造設計 寺門規男
施工会社:沖島工業 田辺
構造形式:鉄筋コンクリート造一部木造
敷地面積:82.13㎡(24.8坪)
延床面積:121.13㎡(36.6坪)
1階床面積:49.22㎡(14.9坪)
2階床面積:45.84㎡(13.9坪)
3階床面積:26.07㎡(7.9坪)
①木造から鉄筋コンクリート造へ
クライアントの要望に対して、構造を変えた方が効果的だと提案しました。
②光井戸の中庭
敷地の三方が三層の住宅に囲まれていて光を享受するのが難しかったので、敷地内に縦長の光井戸を設け、周囲の環境の変化の影響を受けないようにしました。
③混構造
バス停からの音を軽減するため2階までを鉄筋コンクリート造にして、3階の寝室は木造にして階高を抑えた優しい空間にしました。
敷地の目の前にバス停があって、お客さんは離発着時のバスの音を軽減してほしいという要望がありました。
当初、お客さんは住宅を木造で考えていましたが、木造ではバスのエンジンの重低音を防げないので、資金的に余裕があるのであれば 鉄筋コンクリート造にしませんかと提案しました。
最終的に、予定より工事金額が高くなってしまいましたが、バスの音を抑える方法としては正しかったと思っています。
構造の変更を提案した結果、予算がオーバーしてお客さんは不安になり、憤慨しましたが、建物が竣工した時、新築の住宅で奥さんの手料理の食事会に誘っていただきました。
そこで、全てを受け入れていただいたとホッとしたのを覚えています。
お客さんの想像を超え考えつかないことを提案します。
それが自分の仕事だと考えています。
一緒に住宅を買うのではなく、造ることを楽しめたらと思います。
きりたんぽ
きりたんぽは、杉の木の丸棒にすりつぶしたご飯をを巻いて囲炉裏で焼いて作ります。
出来たきりたんぽを鍋に入れると、表面が焼かれたご飯は崩れないで、杉の丸棒で出来た穴の中にスープが入っていき、スープがきりたんぽに染み込んでいきます。
この住宅は縦長の中庭を光井戸として、周りの部屋に光と風を届けます。
土地の中心から外側に光を届けるのは、秋田出身の私にはスープが内側から染み込むきりたんぽのように思えます。
相田宗徳(元スタッフ)
中村義樹(元スタッフ)
かい構造設計 寺門規男
沖島工業 田辺