敷地は東京都心に隣接した様々なカルチャーが交錯するエリアで、住民のみが通る路地のインフラを維持する組合をつくり、コミュニティを大切にしている地域です。高齢化により空家や単身者向けアパートが増え、街は雑然とし日中は人が少なく路地は閑散としていました。敷地は南北2面で路地に面しており、フットプリントを小さくした3階建てとして南北にそれぞれ庭を配置し2つの道に開く住宅としました。
主な生活スペースを2階以上とし、1階は仕事場と工作や接客スペースとして使える土間空間として、庭にひらいています。仕事場には日中路地を見守る大人がいて、子どもたちは路地が広がったような庭で遊ぶ、安心して暮らせる環境をつくります。2階の生活スペースはテラスや出窓を介して庭と繋がり、街とほどよい距離感で落ち着いて暮らせる設えの工夫をしています。アクティブな建て主の暮らし方に合わせ、大きなテーブルのある広いダイニングキッチンに対して、リビングは小さな居場所を家じゅうにちりばめ、家族それぞれが様々な場所で過ごせる住宅としました。
土地探しから家づくりのご協力させていただき、いろいろな土地を一緒に見て感覚を共有しながら家づくりを行いました。街や路地の雰囲気、2面で接道する土地の面白さを気に入られて土地を決定し、その思いを大切にしながら建築計画を進めました。
施工:吉田工務店
植栽デザイン:温室