玄関を入ると、仕切りのない階段が2階のリビングにまっすぐつながっていきます。
リビングには、壁沿いに40cm程度の高さのステージを設け、腰掛けたり、時には寝転んだりなど、床でありながら家具にも近いような使い方ができるため、リビングでのさまざま過ごし方が生まれます。
さらにステージ下は奥行きの十分な収納スペースにもなっており、空間を有効に使っています。
LDK上部の一部分は、2階から3階、さらにロフトへとつながる吹き抜けになっていて、吹き抜けに設けた窓からは、壁に沿ってやさしい光が射し込み、室内全体をいつでも自然光が包み込んでくれます。
3階は、書斎・寝室としての機能を持たせつつ、小上がりやデスクカウンターの造作、さらに大量にものをしまえるウォークインクローゼットを部屋の両サイドに配置。
はしごの上のロフトにも十分にストックを確保できるため、生活空間をすっきりと保つことができます。2階のリビングを中心に、階段や吹き抜けが上下階をつなげ、それぞれの部屋の仕切りのない大きなワンルームのような戸建て空間です。
■ 造作家具や建具。統一感のある木の素材が生む心地良い住まいへ
1Fのトイレ・サニタリーなど水廻りへ続く扉や造り付けの家具には、シナ材やパイン材といった木の素材を使用し、また木目を活かした塗装をすることで建物全体をナチュラルな雰囲気に仕上げています。
床材には、表面に無垢材が張られた突板フローリングを採用することで、家のどこにいても木の温かみが感じられます。
壁や天井の白色と、床・階段・家具・窓枠の木の素材でシンプルな仕上がりにすることで、お住まいになった後、家具や生活に必要なものを配置しても、それらが自然と馴染むような空間になっています。
今は少し物足りないくらいでも、生活する上で完成していったり、新しい発見があったり、「住まいは、そこに住まう人の生活によって形づくられるもの」という余白をあえて残し、住み手が暮らしの中でプラスしていける、そんな家になってほしいという願いのこめられた注文住宅となっています。
■ 44㎡の敷地に、たくさんの居場所を生み出す仕掛け
全体がひとつながりになった空間は、3LDK・4LDKといった、部屋数+LDKでは表すことのできない間取りとなり、狭小地でありながら、その狭さを感じさせず、たくさんの生活のシーンが生まれる暮らしの自由度の高い住まいとなっています。
世田谷区・三軒茶屋という地域性も含めて、敷地面積が約44㎡という都心ではめずらしくない面積をいかに活かしていくかという、お客さまの課題に対して、一緒に工夫を凝らし、吹き抜けを作って天井の高さを高くしたり、ステージを設けて家の中にたくさんの居場所をつくったり、広く感じられる工夫をすることで、建物全体の広がりを生み出しました。