敷地は幹線道路に面した中低層のビルが並ぶ商店街にあり、建物用途は、1階を店舗、2階を診療所、3階を共同住宅とした複合ビルである。
建物は、テナントや診療所、賃貸住宅が入るため、床面積を最大限に確保することが求められ、容積率を最大限消化する形態が求められた。そのため、地表面では、室外機や設備盤スペースの確保、外部階段の動線空間を確保しながらも、上階に行くほど必要とされた床面積によって、外壁を斜めとして上階の床と連続させることで建物を成立させている。また、構造は扁平RC壁柱、床梁により、内部に柱、梁の出ない筒状の無柱空間を実現し、自由な内部プランを可能としている。
1Fのテナント部分は筒状のワンルーム空間で、テナントが自由にレイアウトが可能な空間となっている。
2Fの診療所は、最小限の人数で診療所を運営出来る計画が求められたため、廊下を無くし、諸室同士が直接繋がっていく平面計画としている。それによって、患者さん、医師、看護士のそれぞれが、必要な最短距離で諸室を行き来することが可能となっている。また、各諸室の間仕切りは、内部に構造壁が無い建物の特徴を生かし、欄間付きの壁で柔らかく分節することで、自然光が内部まで届く計画とし、隣室の光の気配を感じることで、プライバシーを保ちながらも、閉鎖しすぎない診療所を実現している。
3Fの共同住宅は、前面道路側は幹線道路、裏側は駐車場に面していることから、中庭を持つ2つの住宅として、LDとBRが中庭に面することで、高いプライバシーとセキュリティーを確保している。また、外壁面の全ては、乳白の2重ガラスとして水廻りを配置し、LDやBRとの間仕切りを欄間付きのRC壁とすることで、外壁面からの光も室内へ取り込む計画としている。
幹線道路に面したファサードは、1Fは透明ガラス、2Fは診療所のバッファーゾーンとして機能する風除室、3Fは乳白ガラスとすることで、各層に要求されるプライバシーや光をコントロールすると共に、架構と用途により成立する形態がそのまま形として現れることで、建物全体がサインとして機能し、街並みに対して調和しながらも存在感のある建物が実現している。
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