人は、日々の生活によって馴染んだ広さなどの感覚を持っている。玄関とはこのような大きさだとか、子供室は、寝室は、などなど。その大きさは人によって違いは有るのだろうけれど、大体常識的な範囲が頭の中に作られていって、計画において標準的な大きさというものが、まず出来上がっている。しかしそういった、大きさに対しての感覚を一旦忘れてしまうというのも、固まった感覚を変えていく一つの方法ではないか。
例えば、玄関の標準的と言えるサイズからどんどん大きくなると、土間と呼ばれるようなものになって、玄関の用途以上の使い方や土間と居間との繋がりによって新たな用途が広がっていくように思う。反対に小さくなっていくとどうなるか、場合によっては玄関が無くなってしまうとどうなるか、などいろいろ考えられる。
クライアントは、スキップフロアの家に興味があって、立体的に動き回れる家に住みたいという希望を持っていた。
立地による風の流れや、正面が西向きという太陽の熱の問題、住まい手の要望などもあったが、もろもろの押さえておくべき要点を考えていくうちに、スキップフロアでもあるが、大きな幅の階段が中心に配置されて、階段を上下の移動のためのものと考えない、とくに使い道を考えない大きな幅の階段が出来上がった。
大きな幅をもった階段が家を下から上へと貫く。風の流れの方向に建物を貫通しているので、開放すると風が気持ちよく流れていく。階段に座って過していると真夏の日でも快適に過すことができる。階段を上がっていくと、そのまま階段に紛れるような格好でテーブルが造り付けられていて、階段の一部に座るような感じで、食事などをする。
2階は、階段の周りを囲むように部屋が出来上がっている。主には3人の子供たちのベットが置いてあり、勉強などするための長いデスクがある。
1階は、寝室と畳の部屋があり、この家で個室として使われる部屋だ。あと、階段下を利用した土間があり、自転車やバイクを置くことができる。そして土間と繋がる浴室がある。
クライアントの住んだ感想は、階段に座って過ごすこともあるし、階段から見下ろして正面の開口部を開けると庭が見える様子もいいと言っていた。西日を遮る為に正面の開口部を制限したが、そこを開けると、階段下部に光が反射して、内部が下から明るくなる。
計画というものは何かを決めていく作業だが、どのように過すことができるか良くわからない場所、ある意味多少無計画とも言える場所にはいろいろな生活に変化を付ける大事な要素があるように感じた。
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白山の家
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