この家は、ご夫婦と4人のお子さん、合わせて6人家族の家です。ご家族は、もともとマンションに暮らしていましたが、子供の成長につれマンションが手狭になり一戸建てを探すことになりました。ご相談は、土地探しから始まりました。育ちの違うご夫婦の要望は両極端で、奥様は、子育てと日常の利便が最優先であり、旦那様は、広さと住空間の良さを求めていました。そのような条件の中、この敷地と巡り会いました。
この敷地は、高低差6mの崖地で擁壁もない地法面のまま崩れずに残っていました。一見するとすごい崖地ですが、敷地の前後に道路があり、地盤面は高い位置であるため素晴らしい眺望が目の前に広がっていました。まず、この敷地に対して建物自体で擁壁を兼ねようと考えました。また、擁壁部分が地下扱いとなるので地階の容積率緩和を利用し敷地を立体的に活用しようと考えました。
建物の構造としては、地下部分のRC造の上に木造2階建てが乗っかっている混構造です。崖地の高低差が6mもあるので地下2階地上2階の4階建てのように見えます。地下部分は、容積率の緩和を使える面積一杯とし、土工事における掘削量を少なくするために階段状とすることを考えました。これをもとに内部の計画は、階段を中央に配置し、前後の空間をスキップフロアとすることで上下の階を緩やかに繋げ、階数を意識させないようにしました。子供部屋は、男女の構成、年齢の違いのため、成長とともに部屋の構成を変えたいというクライアントの希望に対応するため、一室を可動家具で仕切る形としました。地上階においては、可能な限り間仕切りを設けず、1、2階を一体的な空間とするとともに裏庭からバルコニーへと外部空間へ広がりを持たせました。
こうして敷地の特徴を余すことなく取り入れることによって、小さいながらも空間が最大限広がる「家」になったと思います。
斜面地敷地に対して擁壁を兼ねた建物で対応
株式会社 匠陽
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