都心の住宅地に建つ戸建住宅です。敷地周辺は寺院が多く、蔵を残した住宅が見られたるなど、歴史的な土壌を感じさせます。約7.5m幅の前面道路は、昼間でも車の行き来が少なく、沿道の住宅に日当たりと静かな環境をもたらしています。
この住宅の主な要件は、①奥行の深い長屋状の敷地の奥まで自然光を確保すること、②6000冊の蔵書を収める本棚と最低2台分の車庫を確保すること、③1階に高齢者が住まう二世帯住宅であること、の3点でした。
設計に際しては、生活と収納に必要な規模のゾーニングや平面をコンパクト化する過程で発見した「隙間」を最大限活用することを考えました。すなわち、前面道路に接する南東角の光庭や2〜3階をつなぐ小さな2つの吹き抜け、2つの階段と2・3階のガラス床といった光や風を通す小さな「隙間」の連なりが、長い建築の深部に自然光を導き、通風や家族の気配を循環させる役割りを果たすように設計しました。
長屋状で奥行の深い敷地に建つ3階建ての奥の部屋まで日が当たる工夫をしました/光庭を通風や換気のコアとしても活用すると同時に家族をつなぐ立体的な広場ともなるよう考えました/内部に大きな柱を露出させないなど、構造のシンプル化にも気を配りました
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