手芸に読書、ガーデニング、映画鑑賞…。住まいの各所にたっぷりの収納が潜む、子供3人の子育てと夫婦の趣味を楽しむための平屋。
photograph_ Kai Nakamura
donguri house
福島県郡山市
〈設計+施工〉 Life Style工房/安斎建設工業
・住人ケース…
Yさんご家族
夫 (35歳) 会社員
妻 (37歳) 会社員
長男 (8歳)
長女 (6歳)
次男 (1歳)
子供の成長に伴って、数年来住み続けてきた賃貸アパートが手狭になり、「子育てと自分たちの趣味を不自由なく楽しめるマイホームが欲しい」と思うようになったYさんご夫妻。住宅雑誌で目に留まった、地元福島県を拠点とするライフスタイル工房が手掛けた事例に惹かれ、家づくりを依頼することにした。
幼い3人のお子さんの衣服や玩具、学校道具などに加え、多趣味なご夫妻の持ちものも多く、「収納はたっぷり。片付けはあまり得意ではないので、隠せるように」とリクエスト。
「主人は読書とガーデニングとホームシアター、私は手芸が好きなので、それぞれの趣味を楽しめるスペースと、たくさんの大切なものを収納できるスペースを確保することが家づくりの大きな条件でした」(奥さま)
そこで、ライフスタイル工房の安斎好太郎さんは、家事の合間に奥さまが趣味を楽しめるよう、LDKのワンコーナーに手芸スペースを設置。ここには大量の生地がストックできる収納棚を設け、「布を眺めている時間が幸せ」という奥さまのために、全体が見渡せて、さっと開け閉めできるカーテンを目隠しに採用した。
一方、ご主人の趣味のスペースは、LDKに面したロフトに配置。造り付けの本棚は扉で隠さず、好きな本を好きな時に手に取れるよう、オープン収納に。さらに、LDKの傾斜している天井にホームシアター用のスクリーンを設置し、ロフトからやや見下して鑑賞できる、映画館のようなホームシアターも実現した。
また、Y邸の収納計画の特徴として特筆すべきは、各部の収納が目立たないようデザインされていることだ。たとえば、リビングの壁面収納。杉板で仕上げた一面は、内部の収納の存在を感じさせない、壁のような見た目。洗面室の造り付け収納や玄関の靴箱も、扉に取っ手などを付けず、壁と同化する仕上げにしている。
「“ここが収納”と主張して見せる必要はないので、空間に溶け込むようにデザインしました。しまうものや高さ、使う場面によって出し入れがしやすいように、扉の有無や開閉の仕方を変えています」(安斎さん)
新しい住まいで、好きなことを満喫できる癒しの空間と、生活感をすっきりしまい込み、心地よい暮らしをバックアップするたくさんの収納スペースを手に入れたYさんご家族。子供の成長に沿いながら、暮らしはますます充実していくことだろう。
〈物件名〉donguri house〈所在地〉福島県郡山市〈居住者構成〉夫婦+子供3人〈用途地域〉都市計画区〈建物規模〉平屋建て〈主要構造〉木造〈敷地面積〉235.17m²〈建築面積〉110.81m²〈床面積〉1階 119.15m²、ロフト 31.05m² 計150.20m²〈建蔽率〉47.12%(許容50%)〈容積率〉63.87%(許容100%)〈設計+施工〉Life style工房/安斎建設工業〈設計期間〉8ヶ月〈工事期間〉7ヶ月〈竣工〉2009年
Kotaro Anzai
安齋好太郎 1977年福島県生まれ。福島県二本松市を拠点に設計から施工・管理まで行い、住宅・店舗・設営・家具デザインなど幅広く活動。「文化」「環境」「素材」を大切に考え、今後の自然素材の在り方を建築を通して提案・発信している。
Life style工房/安斎建設工業
TEL 0243・22・1298
FAX 0243・22・6116
info@anzaikensetsu.co.jp
www.lifestylekoubou.com
※この記事はLiVES vol.67に掲載されたものを転載しています。