自然豊かな閑静な住宅街に建つアトリエ兼住宅。
道産のカラマツと札幌軟石の外観は、新築でありながらすでに背景に馴染んでいる。建物は土砂災害特別警戒区域に掛かり、1階のアトリエは土砂を受ける3m の擁壁が必然であったため、吹抜けた上部からの光と杉板の打放し型枠によってその存在を意匠的に際立たせている。
2、3階の住空間は周囲からの視線と季節風を遮るため、半屋外的な階段アプローチとアトリエの吹抜けによって包まれ、これらは住戸内のプライバシーを守りつつ、家のあちこちから外へと重層的に繋がっている。そしてさらに3階へ至る階段に取り囲まれたリビングダイニングは、この家の中心であると共に熱的な負荷が最も少ない環境に位置している。3階にはプライベート空間とアトリエの吹抜けを介して裏山へと視線が抜ける書斎があり、四季の変化を楽しめる。和の愛着が深いクライアントのために一間床のシンプルな和室をしつらえた。