北側に素晴らしい水田の風景が広がる場所に立っています。平たい1階の上に、3つのボックスが載った住宅です。
1階は、家族や友人と生活を楽しむ場であり、2階は、プライベートな空間になっています。1階と2階では、自然との距離の取り方が異なっており、それが、用途の違いに対応しています。
1階は、人の動きに対して、風景が平行になっている空間です。ここでは、風景は、皆が集う際の背景となり、あまり強く意識されません。建具を開けると、階全体が、皆で集うための大きなオープンなスペースになっています。長い連窓もその空間の水平性を強調します。
2階の各ボックスは、一軒家の雰囲気を持ち、それぞれ異なる材料で仕上げています。東西南北の4方向に窓を持ち、さまざまな方向から、光と風が入って来ます。自然や風景と直交するような空間です。ここでは、日常的な世界から距離を置き、風景と向き合いながら、自分だけのプライベートな世界をつくることができます。
3つのボックスの仕上と風景の現われ方の差で、各ボックスの自然との距離感も変化します。
西のボックスは、シナ合板張りの抑えたつくりで、窓は使い勝手とのバランスで決めています。風景と穏やかに向き合うことになります。
中央のボックスは、光の散乱する溶融亜鉛メッキ鋼板の空間を、目透し張りの板でくるんでいます。ボックスの切断面が額縁となり、景色が、絵のように鮮やかに切り取られます。風景を強く意識することになります。
東のボックスは、鏡や全艶の塗料で仕上げた壁と天井に、ツキ板やじゅうたんといった材料が重なります。鏡や全艶の塗料で仕上げた面への風景の映り込みで、虚像実像の境界は不分明になり、風景が室内に入り込んで来ます。
水平な1階に、小さなボックスを載せた構成は、向こう側の空へ視線が抜けて行きます。自然に近い場所にふさわしい圧迫感のない形式と考えました。
外壁の素材や色は、新潟の昔ながらの建物によく使われているものです。地域との連帯感への配慮となります。同時に、他とは異なる建築のつくり方により、周りとつながりながら、同時に、自立しています。
http://www.future-scape.co.jp/g200303works/g200303worksimage/g2003f09houseinnigata/g2003f09houseinnigata.html
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