北鎌倉駅から徒歩5分ほどの寺の境内に位置する、緑豊かで落ち着いた雰囲気のなかにある木造2階建の建物で、もともとは住居としてつくられた。
その後ギャラリーだった時期を経て、美容師であるクライアントが譲り受けた。
1階はすでに美容院として改修されており、今回、その規模を広げるため2階部分を改修した。
クライアントは、仕事や趣味仲間、地域の繋がりも幅広く、夫婦ともにサーフィンや自然をこよなく愛し、土地の暮らしを楽しむオープンマインドな明るい夫婦だ。また、趣味のカメラが高じて写真や動画撮影の仕事も増えるなど、活動の幅が広がってきた。そこで、新しいスペースは用途を限定せず、クライアントの暮らしや思い、活動に今後もより自由な広がりが生まれるよう、大きな余白を所有するイメージでデザインを進めた。
「屋根裏部屋」のように自由さと、まるで秘密基地のような特別感も味わえるような空間づくりを目指した。
二間にわかれた空間は、メインは白の壁、もう一つの部屋は薄いピンクの色を採用。
彼らの開放的なキャラクターや、自然の風や光による環境の変化がもたらすやわらかさを表現した。ミラーは脱着が可能な仕様とし、取り外すと足元をR加工した漆喰の壁が四面あらわれる。空間の角も緩やかなRを施し、四周を囲む壁一面をやわらかな漆喰で仕上げたことで、広がりを感じつつ優しく包みこむ安心感も感じられる空間となった。細いスリットや障子から差し込む陽が白とピンクの壁を柔らかく照らし、空間に明るい光を増幅させる。自然光がもたらす光は、彼らにとって身近で大切な存在である海や自然の空気感を運びこんでくれる。
ある時は、フォトスタジオに、またある時はギャラリーやポップアップストアへと軽やかに姿を変える。美容院としてのサロンが、人が集い交流するサロンへと自由に表情を変えていながら時を重ねていく。クライアントの暮らしに寄り添いながら、新しい可能性が今後も広がっていくだろう。
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