子育てを終えた夫婦のための終の棲家。
敷地は、市内中心部、閑静で緑豊かな小高い丘上の分譲地。
南隣地は既に、東隣地も将来は境界いっぱいに住宅が建つことが予想されるが、2階高さからは西側の緑地越しに景観が開け、北側は隣地の緑と遠景を借景として間近に感じることができる。
設計に際しては、西日を制御しつつ、この景観と光を採り入れる開口と壁の在り方に特に注力した。
2階主室は、矩形の平面に、細身の化粧梁を掛け渡し、表した。
西側の窓は出窓とし、北側窓にはベンチを設えた。この彫の深い開口は風景を額縁のように切り取ると同時に、空間に奥行を与える。ダイニングテーブルからは西の景観を望み、北向きのベンチは順光の反射光に柔らかく満たされる等、心地よい居場所を整えている。
僅かに茶味を帯びた漆喰壁と木質に覆われた空間は、明る過ぎず、暗過ぎず、程よい明暗と陰翳の中、時に閑かに、時に客を迎え、思い思いに穏やかなときを過ごすことができる。
Photo:石井紀久(Blitz Studio)
資料請求にあたっての注意事項