東京都心部、細長い敷地に建つ鉄筋コンクリート造の住宅のリノベーションです。
周辺は現在はビルやマンションが立ち並ぶ地域ですが、江戸時代からの町割りや地名を残した歴史ある街で、クライアントもこの街の文化に魅力を感じ中古住宅を購入し、5人家族の住まいとしてリノベーションしました。
既存のモノトーンで冷たいイメージの内装から、コンクリートの風合いを生かしながら木を使ったやさしい空間へ、クライアントの暮らし方に沿う住まいに生まれ変わりました。
■異なる特徴の3層のフロア
コンクリートで区切られた3つのフロアをそれぞれの環境に合わせて再構成しました。1層目、グランドレベルは歴史ある街へとつながるフロアとして、かつて駐車場だったスペースを屋内化して広い土間としました。以前の住まいのキッチンを移設し、子育てが一段落したら小さなお店を開けるようにしています。
2層目は家族の個室と納戸が集まるプライベートフロア。細長い建築で5人の個室を並べると廊下しか残らなくなってしまうところを、家族の本を集めたライブラリーを通路にすることで、本を介したコミュニケーションを生み、長い動線を楽しめる仕掛けをつくりました。
3層目、最上階は勾配屋根やハイサイドライトを活かした、明るく開放的な家族みんなの場所。ばらばらに配置されていた既存の窓を木枠や家具によって秩序を与え、光が広がる伸びやかな空間としました。さらにその上部のロフトは3階から天井が繋がるように開口を開け、離れのような和室にしました。
施工:成田工務店