「パッシブハウス」という言葉を聞いたことがありますか? これは、ドイツのパッシブハウス研究所によって確立された省エネ住宅基準を満たす家のこと。簡単にいえば、環境先進国のドイツでも認められた、超省エネハウスのことです。
省エネというだけでもすばらしいのに、そこにもうひとつアイデアを加えたおもしろいパッシブハウスが最近世界に増えているんだとか。この連載では、そんな「+αのあるパッシブハウス」を紹介していきたいと思います。
今回紹介するのは”遊べる”パッシブハウスです。
“遊べる”パッシブハウスがあるのは、ベルギーのアッセという地域。ここはヨーロッパのなかで最も人口密度の高い住宅地のひとつ。余り物の土地しか残っていないこの街には、子どもが遊べるようなパブリックスペースが少ないんだそう…。
建築会社「BLAF Architecten」がそんな地域にあえて家を建てたのは、建築の可能性を示すため。それは空間、社会、そして環境という3つの視点で建築にできることを考えた結果でした。
彼らがつくったのは、本来ならば柵で囲まれた庭となるはずのスペースを、家に住む家族はもちろん、近所の人でも使えるようなセミ・パブリックなスペースにしたパッシブハウスです。
忘れてはいけないのが、これがパッシブハウスだということ。太陽と土地の特徴をふまえ、日光が効率よく室内に取り入れられる造りになっているので、自然の温もりを最大限に活用し、暖房になるべく頼らない暮らしをすることができるのです。
環境にやさしく、ご近所さんとの交流を増やし、さらに子どものアートの才能まで育ててしまう。そんな一石三鳥な”遊べる”パッシブハウスは、子どもがのびのびと遊べる場所やご近所さんとの会話が少ない東京でも、参考にできるかもしれませんね。
(Text: 宮本裕人)
[via , inhabitatArchDaily]
※この記事はgreenzに2013年10月22日に掲載されたものを転載しています。