こちらがこの記事の舞台である「MADマンション」
千葉県松戸市の一角で、シェア物件などを提供する不動産事業と、エリアプロモーションを通じてクリエイティブなまちづくりを行う「MAD City プロジェクト」。(詳しくはこちら)不動産事業では、”DIYでOK・改造自由・原状回復不要”というユニークな賃貸物件を数多く取り扱っており、アーティストのアトリエやSOHOとして活用されています。
これらの物件では特性を生かした様々なプロジェクトが進行中!今回は人気を集めている「MAD マンション」の再生ストーリーをご紹介します!
「MADマンション」はもともと全20部屋中、12部屋が空室になってしまい、室内もリフォームされていない状態でした。しかし入居者を募集し、入居者同士で様々なプロジェクトを行っていった結果、コミュニティマンションとして再生。現在は12部屋すべて満室になり、11 部屋に入居者が入り、1部屋はコミュニティルームとして活用されています。
このマンションの特徴は、入居者それぞれがマイプロジェクトに自発的に取り組んでいる、コミュニティが生まれていくマンションだということです。
まるで海外のオフィス!?個性的なDIYルーム
MADマンションは「DIY・改造自由・原状回復不要」ということで、かなり大胆に改造した入居者がいたり、ユニークなマイプロジェクトがそれぞれの部屋で起こっているんです!
大胆な改造を行ったのは、デザイナー佐藤大輔さんの部屋。そもそも、入居を決めたのはなぜだったんでしょうか。
もともと、MAD Cityの”クリエイターの拠点をつくる”というコンセプトに共感していて、イベントなどに遊びに行っていました。そんな中、「リノベーション自由」というMAD マンションのことを知って、ここなら大胆な改造もできると思い、入居しました。今は周りのクリエイターの人たちからいろいろ刺激を受けています。
佐藤さんは地元の工務店から大工さんを紹介してもらって作業し、約1ヶ月ほどで改造を完了しました。もともとこのような内装だったのを、
人工芝をひいたり、壁に色を塗ったり、キッチンの扉を改装したりしてこのような状態に!
人工芝の緑とブルーのコントラストが鮮やか。人工芝をひいたのは内と外の中間である「土間」のような場所をつくりたかったからなのだそう
また、室内も
壁をはがして・・・
コンクリート打ちっぱなしのまるで海外オフィスのような内装に!
普通の賃貸ではこれだけ大胆な改造は不可能。それを実現するためには、オーナーさんとの信頼関係が大切です。松戸ではMAD City不動産がその役割を果たしています。その後、佐藤さんはこのようなスキルを生かして、マンションの共有スペースの改修作業でもリーダーシップを発揮しています。
コミュニケーションが生まれるそれぞれの”マイプロジェクト”
また、ハード面だけでなく、ソフト面でも入居者がそれぞれユニークなマイプロジェクトを行っています。
その第一弾は、一番初めに入居した篠田拓郎さんが自室でおこなった「1DAY TAKURO Cafe」。篠田さんはもともとコーヒーが好きで、個人でコーヒー豆を焙煎していました。
入居した際、「もともと住んでいる人たちにあいさつをしたい」と思っていたところ、考えついたのが自室でコーヒーをふるまう、家飲みならぬ家カフェ。既存の住民がコーヒーを飲みにきてくれ、そこからコミュニケーションが始まっていきました。
その後は「アートパーク」という子ども向けのイベントやMAD Cityのツアーの中でもコーヒーをふるまったり、駅前にあるLift Cafeに自家焙煎のコーヒー豆を卸すなど、「コーヒー」をキーワードにコミュニケーションを広げていっています。
また、カムロノブエさんは「Take Free」というスペースを室内にもうけ、自身が使わなくなった服や雑貨、アクセサリーなどを入居者やその友達に譲っていて、いろいろな人が出入りしています。
「自分発信の何か」を始めるのは決して簡単なことではないはず。けれどそういうマイプロジェクトをやろうという仲間が隣近所にいたら、自分もやってみる元気がわいてくるものです。そういう前向きなコミュニケーションが生まれているのがコミュニティマンションの可能性かもしれません。
マンションの課題を住民同士のDIYで解決
そんな個性的な入居者たちが、顔見知りになったのが「ゴミ置き場」の改修作業でした。池田リリーさんは、初めてのゴミ出しの際、分別の仕方を間違ってしまい、元の住民の方から指摘を受けました。すぐに謝罪とお礼に行った際、元住民の方から「ゴミ箱置き場がきれいではなく、不法投棄もあり困っている」という話を聞き、「じゃあみんなで直そう!」ということに。
とはいえ、どうしたら直せるか悩んでいました。でもそこは多才な人材にすぐ会えるMAD City。近隣の建築をやっている女性からアドバイスも受けながら、みんなで協力してゴミ置き場を改修していきました。
最後にはカーテンもついた立派なゴミ置き場ができました!
住民同士で協力しながら作業をしていったことでより一層コミュニケーションが深まりました。作業後の打ち上げでは「そういえばあそこのサビが気になる…」や「空いている203号室をみんなの図書館にしたい」などなど企画が大盛り上がり。
それをきっかけに、第2回目の活動では共有スペースのサビとりや清掃をし、なんと塗装まで行ったそう!こうやって自分たちの手で改装していくと愛着もわきます。
住民主体で様々な企画が発生!
この第1回の打ち上げをきっかけに、マンション住民主体でさらにいろいろな企画が行われるようになりました。203号室は「コミュニティルーム」として使われ末光陽介さんが映画の撮影場所として使ったり、カムロノブエさんが棚を作る作業場として使うなど、共有のフリースペースとして活用されています。ちなみに、前回の記事で紹介した西尾さんがその棚作りの講師をしているそう。このように住民同士でスキルをシェアできるのは”クリエイティブな自治区”ならではですね。
板を切っているカムロノブエさん。自室と別に作業部屋があると便利ですね
今後、デザイナー、佐藤大輔さん主導でマンション外の人も誘い、本格的にコミュニティルームの改装を行う予定とのこと。これからどう変わり、活用されていくのか楽しみです!
また、12月15日(土)には外部の人を招き、住民主体で「MAD Mansion White Life Exhibition」というイベントも行われます。MAD マンションのそれぞれの部屋で、前回の記事で紹介した新谷さんの写真展示や、入居しているアーティストによる作品展示、ワークショップなどが開催される予定。MAD Cityに新しく来た人たちが、今度は自分たちでMAD Cityの魅力を語り、また新しい人が来る、という循環が起こっているんです。
このように、クリエイティビティをもった住民たちのDIYでマンションの課題を解決していきながら、次々と新しいプロジェクトが生まれているMADマンション。マンションの課題や「こんなことをやりたい」という思いが共有でき、実現できるのはコミュニティマンションならではといえそうです。
「いろとりどり」の思いを込めた、新たなコミュニティマンション
そんな、MADマンションのようなコミュニティ物件が新たに募集開始になりました!その名も「いろどりマンション」。
部屋ごとに「いろ(=テーマ)」をもうけて入居者を募集します。例えば、「グリーン」や「カメラ」、「DIY」など。(希望するテーマを相談することも可能です。)趣味・嗜好が似た人が空間をシェアして暮らせるようにしていくという新しい形のコミュニティマンション。もちろん改造自由で原状回復不要です。どんな人が住み、どんな「いろ」を生み出していくのか楽しみです。
いろどりマンション
そして、いろどりマンションの中やMAD Cityを見ながら、各部屋のテーマにそったワークショップを体験できるイベント「ワンデーいろどりマンション」が12月16日(日)に行われます。前回紹介した西尾さん、行政さん、新谷さんがアテンド役として登場。西尾さんがDIYワークショップ、行政さんがMAD Cityの注目スポットをめぐるツアーを、新谷さんが写真のワークショップを行います。3人に直に話を聞けるチャンスなので、リアルな話を聞きに来てみてくださいね!
(Text:猪鹿倉陽子)
Black Bakery ONEDAY MARKET &White Life Exhibition
日時:2012年12月15日(土)10:30~17:00
集合場所:MAD City Gallery(松戸市本町7-9 松戸駅西口・千葉銀行隣)[MAP]
料金:無料(パーティ代をみんなで割り勘!)
詳細はこちら⇒Black Bakery ONEDAY MARKET &White Life Exhibition
ワンデーいろどりマンション
日時:12月16日(日)13:30~16:30(OPEN13:00〜)
集合場所:MAD City Gallery(松戸市本町7-9 松戸駅西口・千葉銀行隣)[MAP]
料金:無料(パーティ代をみんなで割り勘!)
詳細はこちら⇒ワンデーいろどりマンション