鉄骨造3階建ての建物の改修計画である。
3階と2階一部を、テキスタイル・服の作品を展示・保管場所にすることが求められた。
全体の方針は、クライアントのアイデンティティーである工場の魅力を活かすこととした。そのため、鉄骨の柱・梁・筋交い・階段は露出させ、積極的にデザインのキーポイントにしている。
フレキシブルに使えるように、3階は広いワンルームにした。事務所と手洗いは、既存ボリュームと組合せ、3階の広がりを損なわないように、周辺に配置した。
機械室は、作家の資料を閲覧できる部屋として使い、事務所のボリュームと組合せ、3階の新しい風景にしている。
2階展示室は、上階との連続性を心掛け、更に、奥にスリット窓を設け、行き止まり感を緩和させている。
仕上げは、ラワン合板や木毛セメント板といったラフな素材を使い、それと対照的に全体の壁を白い漆喰としている。漆喰の壁は、引き渡し後、クライアント側で施工する計画である。
断熱材は、調湿効果の高いセルロースファイバーを採用し、天井の木毛セメント板と壁の漆喰によって、保管機能の性能効果を高めている。
天井と外周壁は、元の状態とそれほど大きく変わっていないように見えます。しかし、以下の三つの工夫がなされています。設計と施工共に難しい個所でした。
①電気配線と給水給湯配管
・新しい間取りに対応した配線・配管工事がなされています。
②セルロースファイバー
・エアコンの空調効率を高めるために、断熱工事を行いました。特に、この材料は、調湿効果が高く、通気層のない今回の建物に最適な材料でした。
③鉄骨部材をデザイン要素として活用
・工場らしさを残すために、鉄骨部材を隠さずに、壁や天井を新しく作りました。最小限の葉に内で、一定の性能が期待できる設計を心掛けました。特に、天井の筋交いは、取り外した後に、もう一度取り付ける作業が発生し、見た目以上に手間のかかる工事個所でした。
モノ作りが得意なクライアント様だったので、いくつかご自身で施工していただいた個所があります。天井の木毛セメント板の黒塗装です。
また、引き渡し後、ご自身で、じっくり検討しながら作る個所を計画的に残してあります。
主な工事項目を、列挙しますと以下のようになります。
①床フローリング貼り
・コンクリート土間になっている展示室の床の工事です。
②ブラケット金物
・キッチンカウンターを支持するブラケット金物を自分で作り、取り付けられます。
③遮光建具
・展示室の窓からの光を遮るために、スライド式の木製建具をご自分で製作する予定です。
その他多数予定しています。
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