横浜の雛壇状造成地にある敷地は、南の擁壁の上には住宅がそびえ、東の家屋も迫り、冬の日照が厳しい場所だった。そこで、二階に持ち上げた日当たりの良い場所を「冬のリビング」、影により涼しく過ごせる一階を「夏のリビング」として季節毎の快適性を最大化した。
「冬のリビング」ではこの場で最も効果的な南東からの光に向かって段丘状に上がる三段のフロアを配置した。これは、この段丘地で行われてきた日照への探究を範とする身振りであり、入れ子的なリフレクションである。将来のロフトも備えた広がりを持つワンルームは見晴しで家族を繋いでいる。
「夏のリビング」は二階の段丘の裏に沿って現れた切妻状の土間空間で、アウトドア好きな一家の様々なアクティビティを包むマルチスペースである。また、地域と家族とをつなぎ渡す軒下として、このコロナ禍においても風通しの良いリラックスした交流の場となるだろう。奥の個室も可動間仕切りの開け閉めによって、「夏のリビング」のつながりとして開放されたり、閉じたりと、その時々に必要なプライバシーに合わせて調整され、日陰の庭までも伸長する地域と共有する場所となる。
「冬のリビング」と「夏のリビング」は、ダクトファンによって季節毎の快適な場所のエネルギーを拝借し、熱環境を最適化している。
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