既存建物は4階建てのビルで、数年前に行った4階のペントハウス部分の改修に続き、3階部分を居住スペースとして利用できるように改修を行った。
敷地の北側は、隣接する自宅の庭に面するため眺望が開け、敷地の南側は、緑が多い地域ではあるが、比較的交通量の多い道路に面するため、あまり積極的に開く環境ではない。これらの周辺環境に対応した、大小2つのインナーテラスを設けることを提案している。
北側のインナーテラスは、自宅の庭に面するため、開放的な眺望を室内に取り込むことを目的としている。既存躯体のスラブ段差を利用してソファースペースを作り、開口部を最大限に広げ、新たにフルオープンに出来るスチールサッシとガラスの可動間仕切りを設けることで、LDKと熱環境を分けつつ、半外部空間として機能する。
設備的にも、床暖房、シートヒーター、エタノール暖炉、天井カセット式エアコンが設置されており、半外部空間として、一年中快適に利用できる場所となっている。また、花壇に植えられた古木のオリーブも外部へのつながりを強め、豊かな緑の風景が連続する空間となっている。
もう一つの南側のインナーテラスは、比較的交通量の多い道路に面しているため、プライバシーを保ちつつ採光を確保することを目的としている。水廻りと寝室に面しており、寝室への柔らかな採光の取り入れと、ランドリースペースとしても利用できる空間となっている。
また、室内全体については、既存の梁を隠しながらも天井高さを確保するため、折り上げ天井と間接照明を全体にわたって採用している。各部屋の間仕切りには欄間が設けられており、空間が視覚的につながることで、広がりを感じさせるとともに、自然光が部屋の隅々まで届くようになっている。
素材と色彩に関しては、壁と天井には漆喰、床には大判タイルやカーペットを使用し、作り付けの家具を含め、全体を白系統の色彩で統一している。これにより自然光と間接照明によって。それぞれの素材感が際立つ空間となっている。
インナーテラスを通じて積極的に外部を取り込み、欄間や折り上げ天井などで空間を連続させることで、四季を通して安定した光と風を感じることのできる、半外部空間を持つ居住スペースが実現している。
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