この木造2階建て住宅は、夫婦と娘さんの3人家族の住まいです。
要望として、庭と繋がる1階リビングにしたい希望をはじめに頂きました。ただ敷地は市街地にあり、多少の余裕はあるものの将来、周囲を高い建物に囲まれる可能性が充分にあります。将来的な採光確保を考えておく必要がありました。
周辺建物の将来像を想像しながら、現状より不利になったとしても、可能な限り採光をより取り込むことができるかを、建物形状と配置を試行錯誤しながら計画しています。
しかし1階のリビングは計画上、敷地の南へ寄ってしまうため、南窓は隣地建物に塞がれます。そこで、2階を北側に寄せながら南側をセットバックさせました。家の中ほどとなる吹き抜け上に窓を設けることとし、2階の窓から入る陽が、壁を伝って1階に日だまりをつくるイメージです。冬でも南に寄せたリビングの北側に陽が入りこむようになりました。
また室内空間において建具は最小限とし、1階〜2階が緩やかに一体となった開放的な空間になっています。
2階は家族それぞれのプライベート空間ですが、部屋には壁を設ける形ではなく、カーテンや家具で可変的に間仕切ることを前提としています。
フレキシブルな暮らしを楽しむ家族の個性的な住まいとなりました。