都内で進行中の事務所兼住宅の計画です。
新型コロナよるリモート化は働くことと住まうことの意味を問い直すきっかけになりました。効率性のみを重視したオフィスビルのようなビルディングタイプでなく、働く場にも住まいのように快適さを求め、住まいをまちに対して開くことで、働く場と住まう場を等価に扱うことはできないかと考えました。
ここで筒を思い浮かべてください。筒は1つの面によって表裏に分かれています。これを裏返しながら2つ3つ...と新たな筒を派生させると、表裏が攪拌され絡み合う立体が現れます。面の両側を働く場、住まう場とすると、各々が独立性をもちながら、内外が途切れることなく連続し、周辺のさまざまなものと立体的に接続するのではないかと考えました。
屈曲しながら連続する空間にはさまざまな場が生まれ、互いに見えない場所にいても気配が伝わります。行き止まりがなく立体的に回遊する空間は偶発的な振る舞いを生み、将来的な変化に対して冗長性をもつでしょう。
片面は素地現しなどで素の空間とし、もう片面は周辺の建物から抽出した素材で擬態し、まちの要素を内部にまで引き込みます。仕上げは異なるエリアをオーバーラップするように張り分けます。隣地側に対して大きく開いた部分は、隣接する建物の外壁を借景しています。
周囲に対し異質でありながらつながりをもつ、一見相反する性質をもつこの建築を新たな生活のきっかけとすべく現在計画を進めています。
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