敷地は世田谷区の閑静な住宅地にあり、袋小路の道路奥に位置しているため四周は住宅に囲まれている。敷地面積は約40坪で都心ではゆとりのある広さだが、建蔽率40%、容積率80%、高度斜線という法的条件によって延床面積を確保することが難しい敷地である。建主からは完全分離の2世帯住宅と、外から内、内から外の双方からの視線を遮断するという高いプライベート性が望まれ、いかに最大限に敷地への広がりを確保しながら周辺からの視線の分節を行うかが課題となった。
敷地全体を囲うコンクリート壁を配置し、それを主構造としてスラブを架けることで住宅が成立している。敷地が既存万年塀に囲まれていることから、外周部のコンクリート壁は必要な構造部のみを残し、四隅部分を可能な限りカットすることで敷地境界まで有効利用を計っている。
建蔽率いっぱいの内部空間と、機能を分節する外部空間によって構成され、内部と外部を等価に配置している。内部には構造壁が一切無く、内部と外部はガラスのみで仕切られるため、各部屋からの最大限の空間の広がりと、採光、通風を確保している。
諸室の構成は各フロア一人がそれぞれにパブリック部分と寝室を持つ形で配置され、地下階は、エントランス、クローゼット、寝室、オーディオスペースが設けられている。1FはLDK、水廻り、寝室を設け、各部屋から連続するかたちで外部のコンクリート壁までグレーチングのテラスを配置している。2F部分へは中庭に設置された外部階段を通り、別動線でのアプローチとし、LDK、寝室、水廻りを設け、完全分離の2世帯住宅としている。
敷地を囲い込むコンクリート壁に架けられた宙に浮いた床によって、プライバシーを確保しつつ最大限の居住空間の確保と、内外の境界が曖昧な住宅が実現している。
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