住宅に天井の高いアトリエが欲しいとの依頼がありました。
擁壁で全面道路面より少し高い敷地に、アトリエ部分をそのグランドレベルより少し掘り下げて計画して、階高を抑えて生活空間である2階への昇降をしやすくしました。 建物の中央付近に上下につながる中間領域的な空間としてインナーテラスをサンドイッチして、両側の空間に光や風を間接的に届け、住戸全体の環境を整えることを試みています。
日常の生活がアトリエの存在によって不自由になることなく、またアトリエで作品に集中できるような籠り感が演出できればと考えました。 ここで多くの作品が世の中に生み出されていくことを想像すると、こちらもワクワクします。
設計担当:納谷学、藍澤和孝
構造設計:かい構造設計 寺門規男
施工会社:工事途中倒産
構 造:木造2階、在来工法
延床面積:109.41m²(33.09坪)
1階面積:57.96m²(17.53坪)
2階面積:60.55m²(18.32坪)
掲載誌 :
『テレビ朝日系 渡辺篤史の建もの探訪 2007.02.01放送』
『住宅情報タウンズ2006.10.25』
『月刊ハウジング 2008.02号』
『住まいの実例セレクション2009年度版』
『月刊ハウジング 2009.08号』
①光と風が抜けます
住宅の中央に光と風を通すインナーテラスを用意しました。
②アトリエとリビング
アトリエは作品制作のため、リビングは伸びやかで開放的な空を得るため、どちらも天井の高い空間にしました。
③玄関前の大きな庇空間
作品の搬出入がしやすい様に、2階の個室を跳ね出して大きな庇空間にしました。
日常的にも、天候に関わらずゆっくりと玄関の出入りができます。
工事途中で、施工会社が倒産してしまいましたが、新しい施工会社が決まるまでクライアントと毎日現場に通い詰めました。今後も決してあってほしくない事ですが、大きな経験にもなりました。
全てが上手くいけばいいのですが、時には大きなトラブルに見舞われます。
誰も望んだことではないですが、クライアントに最後まで信じていただいたことで、最終的に辿り着くことができました。信頼関係が大切なことを身にしみて感じた仕事となりました。
相澤和孝(元スタッフ)
かい構造設計 寺門規男