既存建物の改修のおいて、室内と外部とのつながり方を考察した住宅である。
敷地は山手線に道路を介して面した都心の住宅密集地で、その周囲は商業施設に囲まれている。
一日中通過する電車の音、都会の喧噪を遮り、静かな生活を確保する事が求められた。
外部に対して閉じれば音の問題は解決出来るが、息苦しい空間となってしまう。そこで、半外部空間を室内に挿入し、周囲の喧噪からのバッファーとすることを目論んだ。
既存建物はB1Fが駐車場、1Fは玄関、浴室、DK、和室、2Fと3Fは寝室という構成だったが、上階にいく程視界が広がり、開放感が味わえる事から1Fに玄関、寝室等の閉じた空間を配置し、2FにLDK、3Fに浴室と変更した。
線路側に面するLDKと3F浴室には半外部空間を設け、木製建具で室内と分節し、半外部空間をバッファーとして外部と内部が段階的に連続するような構成とした。
半外部空間には給気と排気の換気扇を設置し、サッシを閉じた状態で常に空気が流れるため、部屋内の換気と通風を外部からの音を遮りながら確保することが出来る。また、半外部空間はサッシを開け、木製建具を閉じると外部の延長として利用可能となり、サッシを閉じ、木製建具を開けると内部の延長として利用可能なスペースとなる。
半外部空間の存在は縁側のように、外部の影響力をやわらげながらも、連続性を強め、都心にありながらも静謐な住空間を実現させた。
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