神戸市北区に計画した住宅である。数十年前に造成されたひな壇状の宅地からは、南の六甲山を望むことが出来る。敷地を見た瞬間、眼前に迫る山々のパノラマを素直に受け止め、ご家族の生活空間の中に借景として取り込みたいと思った。視線が遠くまで抜け、面積以上の広がりが生まれ、大らかな居場所で暮らすイメージである。ここでは各居室や水回りは1階にまとめ、眺望の良い2階に生活の中心となるLDKを配置。南面に5連の窓を腰高で配置することで、近景となる住宅は極力見えないように、遠景となり東西へ広く伸びる六甲山や空を借景として取り込む計画とした。外観は樹木やライティングで街並みに貢献しつつも、道路側を敢えて閉じることで、後に訪れる眺望が想像出来ないシークエンスが生まれ、来訪者にとっても特別な空間体験となるようにしている。またLDKのみならず、眺望に対して様々な距離感を持ち、空間の大小、光の濃淡、高低差のバリエーションに富む居場所を創出。ご家族が豊かな自然と共に暮らせる楽しげな建築を目指した。
山のパノラマと暮らす住宅
カーテンの無いLDK
和モダンのインテリア
家づくりは会社よりも「誰とつくるか」が大切だと思っています。
家造りは楽しい―
振り返ればこの思いがよみがえってきます。
自分たちの理想の住まいが欲しい。そう思い、土地探しに住宅メーカー選びにと奔走し、疲弊しきった頃に鈴木さんと出会いました。
きっかけは、妻の友人からの紹介でした。鈴木さんの事務所に初めてお邪魔した時のことが昨日のことのように感じられます。鈴木さんの人柄、仕事の姿勢に惹かれ、妻と『この人しかいない』と即決しました。
鈴木さんは、常に優しい口調で語りかけてくれますが、建築に対して時間と手間を惜しまず、細部にまでこだわる、とてもとても熱い建築家でした。
土地探しの際にも、私たちの気になる土地を一緒に見てくださったこともありました。私たちこだわりの眺望の良い土地が決まった時には、「これはヤバい!」と共に感動してくださいました。
設計の段階で、私たちの性格や要望を書き溜めた1枚の模造紙を渡すと、とても大事にしてくれ、私たちの要望を事細かに聞いて下さいました。3時間にも及ぶ打ち合わせでしたが、鈴木さんも熱心に聞いて下さり、あっという間に時は過ぎました。出来上がった模型・図面は私たちの思いが全て詰まっており、そこに鈴木氏さんの創造力がプラスされた世界に一つだけのものでした。
仕様決めに入ると、打ち合わせが2週間に1度開かれるようになりました。私たちのこだわりに合ったサンプルを用意してくださったり、一緒にショールームに見に行って考えてくださったりして、完成イメージがどんどん膨らみ、毎回わくわくする楽しい時間となりました。夫婦の意見が異なると、鈴木さんは私たちの最初の思いに立ち返らせてくれ、ぶれることなく、家づくりを進めることができました。それだけでなく、お金を掛けるところ、掛けないところも常に意識されていて、予算も大切に考えて下さっていました。
全ての仕様が決まると、詳細な図面が完成し、家が建ち始めました。鈴木さんは、足しげく現場に通い、眺望を活かした5連窓のおさまり、床の張り始め、配線や配管などの見えないところなど、細やかなところまで綿密に大工さんと打ち合わせしながら、家造りを進めてくださいました。私たちとの打ち合わせの際には、進捗状況、鈴木さんと大工さんのこだわりポイントなどを聞き、毎回驚きの連続でした。ある日、テレビ台をどうするか夫婦で相談していると、翌日の打ち合わせで鈴木さんが図面を描いてきてくださった時には、どれだけ施主のことを考えてくれているのだと感動しました。また、鈴木さんと大工さんとの間にも信頼関係を感じることができ、施主として少しも心配することはありませんでした。
上棟より約半年。我が家は図面で見ていた以上に素晴らしく、これ以上ない家ができあがりました。大きな喜び・感動を味わうとともに、これから打ち合わせや鈴木さん、大工さんと会えなくなるのかと思うと何だか寂しくもありました。これまでの過程には土地が決まらない、ウッドショックによる価格変動など困難なこともありましたが終わってみればあっという間でした。それは鈴木さんとの家造りが楽しかったからです。
入居して半年経ちましたが、毎日快適に過ごしています。
鈴木さん、ありがとうございました。
家造りに悩んでおられる方は、鈴木さんを頼ってみてください。「家で懸垂したい」と言ったら、鉄棒まで作ってもらえましたよ。
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