建て主は5年ほど前に当事務所のオープンハウスに来ていただいた若いご夫婦です。
久しぶりに連絡があり、やっと決まったという建設予定地はなんと防火地域!(通常はRC造などの耐火構造で建築するエリア)ただし2階建て、かつ小規模であれば準耐火構造の木造も可能なことも認識した上での 設計依頼で 、 ロフトへの固定階段も 練馬区条例では 許容されることなども、結果としては好都合でした。
そんなお二人ですので住まいに対しても確固たるイメージが既におありで、一言でいえば狭小であるからこそ、空間的にも仕上げ的にもシームレスで柔らかく、シークエンスを感じる空間を望まれているようでした。壁と天井の大半は漆喰を使用、特にポイントとなる出隅コーナーは左官屋さん泣かせ?の曲面処理を施し、内部全体がぬるぬるすべすべと繋がっていくイメージ。1階床仕上げに関しては、コンクリートを仕上げ材として敢えて2度打ちするなど、小さくてもかなりこだわりの仕上げ、工法がふんだんに仕組まれています。
一方、空間的な繋がりとしては、階段廻りにその特徴が最も表れていると思います。1階から2階の箱階段、そして2階からロフトへは施主たってのご希望!木造のみの片持ち階段(施工的にはかなり難儀しましたが…、こちらのブログ>も参照ください)をデスクカウンターの天板なども経由しつつ極力シンプルにまとめ、そこに一筆書きの手摺がカクカクよじ登っていく…。
その甲斐あって17坪余りの小さなお住まいですが、より大きな空間に感じる伸びやかさと、包み込まれるような居心地の良さを併せ持つ、チャーミングなお住まいになったのではないかと思います。飼われている猫チャン(ちょっと神経質だそうです)にも気に入っていただけるといいのですが…。
P.S.上記コメントを見た施主から一番下の写真が送られてきました。猫ちゃんもまんざらでもなさそう…。