隣地からの視線を制御することと、大開口を設けて室内を開放的にすることの両立を図るため、コートハウスを採用。南隣戸が比較的新しい平屋だったこともあり、南側中央に中庭を配してコの字型に3方向を囲む構成です。中庭の東西側の両サイドのヴォリュームは午前の早い時間や夕方の光も直接中庭に届けるため高さを抑え、一方北側面の壁は高くそびえ立ちますが、白っぽい外装とすることで反射光が中庭に拡散することも狙って計画しています。
内部については、玄関からスケルトン階段、ダイニングへと続く東西を貫く1間幅の空間が、全体の軸になっており、2階のギャラリーも含めて、家全体の主動線になっています。この軸空間の1階東西両端部には両面ボーダー石仕上げとした壁を鎮座させることで、アイストップを重厚感のあるものにしています 。
また、計画ポイントになる庭の設えについては、樹木と共に景石を置くというご要望を建て主からいただきました。これまで庭の演出として大きな石を用いた経験が無く、色々なところに石を見て回りましたがなかなかこれというものが見つかりません。最終的にはご主人と一緒に神奈川県真鶴町の石切り場まで出向き、大小5つの小松石を選びました。その後施工者とも相談し、施工後1トン近い?この石を庭に運び入れるのは難しいと判断、着工前に庭になる場所にそれらの石を仮置き、建物完成後に植栽とのバランスで石の位置や向きを微調整という手順をふみました。造園を依頼した「en景観設計」>も、「石への想い」を良くくみ取っていただき、引き立て役の苔や割栗石の演出も素晴らしく、とても迫力のある美しい中庭になったと思いますが、いかがでしょうか。