広い屋敷の中、母屋の西側に建つ蔵は、敷地内のそのほかのどの建物よりも長い歴史のある建物で、明治時代に建てられた推定、築120年。先代、先々代の荷物がずっと保管されていた場所。ずっとこの場所で暮らしているご主人にとっては、暗くて何が仕舞われているのかわからないし、ずっと昔の子ども時代にお仕置きで閉じ込められたりした記憶も残るちょっと怖い空間だそうです・・・。
今回、敷地の整備の一環として、この蔵の空間を、『モノの保管空間』から、人が住むことの出来る最小限の『居住空間』にリノベーションすることになりました。
なるべく今ある蔵の外観を損ねないように、土壁に開口部や穴を開けないようにするために、2階建ての蔵の内部は居室空間のみにしました。水廻りとして必要なダイニングキッチンやシャワーブース、洗面、トイレなどは、蔵の前面の下屋根部分を少し増築することに。
外観も今のカタチを生かすために、増築部分の屋根は、下屋根のさらに下に収めるのが、なかなか難しいところ・・・。屋根部分は、なるべく薄く仕上げるために鉄骨をパネル上に組み上げています。内部の天井高もギリギリの寸法だったので、既存の瓦屋根を1列だけカットして、数センチだけは天井高に余裕を持たせています。
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