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記事作成・更新日: 2015年 5月29日

コレクションが生きる、歴史ある 集合住宅のヴィンテージな一室

素材や照明、什器など、
細部にまでこだわったリノベーションで、
年代物のコレクションに相応しい空間をつくり上げる。

text_ Satoko Hatano photograph_ Kaori Nishida

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リカーラックが存在感を放つリビング。鉄枠を組み合わせた木製吊り戸は菊池さんと家具工房FULLSTONE が考案。アンティークソファは原さんの所蔵品。

趣味人たちの部屋づくり

ヴィンテージコレクター 原達朗さん

都内でコンセプチュアルな飲食店を経営。
ヴィンテージコレクションは自身の店舗にも並ぶ。

Hara Residence

横浜市青葉区
〈設計〉HIGH-LIGHT+Normal

・住人データ
ご本人(44歳) 飲食店経営


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左・キッチンからテラスへ続く通路にアートを飾り、ギャラリーのような雰囲気に。
右・1920 年施行の禁酒法を揶揄した「高貴な実験」の文言で遊び心を演出した書斎扉。

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ハワイの女性作家Heather Brown の絵画が書斎を彩る。額縁と保護ガラスも特注。

「古き良きアメリカのカルチャーが好きですね。なかでも1930年代前後のインダストリアルには、骨太なテイストのなかに職人仕事の温かみやゆとりを感じます」

そう話す原達朗さんは、ヴィンテージのクロージングや雑貨を趣味で収集するコレクター。今から約2年前、戦後の日本建築を牽引した建築家・内井昭蔵設計の集合住宅の一室を入手。収蔵品を飾るこだわりの空間をリノベーションで完成させた。

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特注のステンレスキッチンに、木製キャビネットを合わせた。

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雑貨が並ぶ「’80s ルーム」の壁は、リビングの西壁と同じライトグレーで統一。

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キッチン隣の洗面室。間仕切りは既存を塗り直したもの。鏡も既存を活用した。

1970年竣工の歴史的建築の改修を担当したのは、デザイナーの菊池裕平さんと、建築家の河西理世子さん。菊池さんはインダストリアルな家具や雑貨を扱う「ハイライト」のオーナーであり、原さんが経営する飲食店の内装や、自宅ガレージの趣味室化なども手がけている。

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高さ1mのキッチンカウンターに1930年代のToledo社の回転椅子を合わせた。照明はアメリカのO.C. Whiteのアンティーク。はめ込みガラスの扉は新設。

間取りは構造壁で区切られた3LDK。和室は襖を撤去し、モルタルで仕上げ直してリビングの続き間とした。3つの個室はコレクション別に、1920~1930年代のデニムなどを飾る「クロージングルーム」、ハワイの置物やアートに彩られた「書斎」、アメリカ西海岸のテイストでまとめた「’80s ルーム」に活用。ワンルームのLDKがこれらの個室をつなぐ。モルタルで仕上げたキッチンカウンターの先には革張りのアンティークソファが。H鋼と滑車を組み合わせた特注の吊り戸を開けると、リカーラックが現れる。原さんは、「アメリカで禁酒法が発令された1920年代に数多く生まれた隠れ酒場のイメージ。無骨だけど大人の遊び心が潜んでいる空間です」

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「クロージングルーム」からリビングを見る。壁の地球儀は第二次世界大戦当時のもの。

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キッチンの天井はナラ材を張る一方、リビングは既存天井材を撤去して高さを確保。

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シャワー室の壁のタイルはニューヨークの地下鉄仕様に。

アール形状の壁の出隅など、既存建物のレトロな造作を生かしながら、クロス張りだった内装はほぼすべて改修。質感のあるスタッコやモルタル仕上げとライトグレーの壁、アンティークの家具やインダストリアルな照明で全体を統一。趣の異なるコレクションが自然に調和する、深みのある基調空間をつくり上げた。

「表面的なカッコよさではなく、仕上げや素材にコレクションとの関係性が表れる空間を目指しました」

と菊池さん。「クロージングルーム」はモルタルコテ仕上げとし、原さんが求めた倉庫のようなラフな表情に。アンティークのラックを配して、ヴィンテージのデニムや革の「寂のある質感」が生きる内装を施した。

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モルタルの壁や天井、窓の鉄柵で倉庫のラフな表情を演出した「クロージングルーム」。ハンガーラックやアンティークチェーンは菊池さんがアメリカで買い付けた。

歴史的な集合住宅の一室。時を経たコレクションに新たな息吹をもたらすこだわりの空間が完成した。

時を経て味わいが増したものたち

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「クロージングルーム」のハンガーパイプはガス管で製作。アンティークラックには棚板を増設。

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「書斎」にはアンティークの家具に馴染む落ち着いた色合いの本棚を造作。建築の専門書も並ぶ。

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リカーラックには、年代物のウィスキーなどが並ぶ。

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アンティークの鞍馬やレザー小物が並ぶ「クロージングルーム」。

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アンティークのショーケースに、ファイヤーキングの食器が並ぶ「’80s ルーム」。


〈物件名〉HaraResidence〈所在地〉横浜市青葉区〈居住者構成〉男性1人〈建物規模〉地上3建て(2階部分)〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1970年(築43年)〈専有面積〉79.2㎡〈設計〉HIGH-LIGHT+Normal〈施工〉HIGH-LIGHT+es〈設計期間〉2ヶ月〈工事期間〉6ヶ月〈竣工〉2011年


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Yuhei Kikuchi


菊池裕平

1965年生まれ。
’93年 古着ショップ開業。
2003年アンティーク什器シップ「HIGHLIGHT」開業。
’07年 店舗設計業務開始。
’11年 インテリアデザイン会社HIGH-LIGHT VINTAGE DESIGN & OBJECTS 設立。

HIGH-LIGHT VINTAGE DESIGN&OBJECTS
東京都渋谷区代官山町7・2 1階
TEL / FAX 03・3770・5501
formmail@high-light.jp
www.high-light.jp

Riyoko Kawanishi


河西理世子

1983年生まれ。
2004年 青山製図専門学校卒業。
卒業後より、設計事務所勤務を経て、
’11年 設計事務所Normal 設立。

NORMAL
千葉県流山市十太夫98・1
TEL / FAX 04・7197・5381
kawanishi@tbz.t-com.ne.jp


※この記事はLiVES Vol.72に掲載されたものを転載しています。
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