敷地は南北に長く、北側で接道している。南からの光を、出来る限り取り込もうとすると、建物は北側に配置される。
しかし、道路に近づくと、街に対しての圧迫感が増す。そこで、建物の高さを抑える為、屋根形状を切妻とした。
光を求めて、主要な空間は2階に上げ、1階北側はアプローチと駐車場に絞った。建物の中央部を大きく切り取り、くびれをつける。出来るだけ多くの外気と接し、全ての部屋に、直接の光と風を取り込む為である。
それらは壁面を分節化しボリューム感を軽減する。また、暗くなりがちな北側アプローチも、目線の先へ光を届ける事で、自然に動線を演出してくれると考えた。これらは、伝統的な町屋の手法を意識したものである。
2階の中庭は、どこからも家族の気配を感じることが出来る。更に、成長に合わせて、時々の良い距離感を自然に作ってくれるのではと期待するのである。
全ては法的、経済的な理由を合わせて、縦長の敷地が多くなる市街地で、少しでも良い生活空間を求め、環境を素直に受け入れて考えた、一つの答えである。
◇図面等詳しくはこちら→http://atelier-m.com/gallery/切妻と中庭の家/
京都府
鉄骨造 2階建て 新築
2008年秋 竣工
撮影 : 絹巻 豊
■その他の作品は→ http://www.atelier-m.com/