本計画はひとつの住まいに、数多くの場や要素が盛り込まれています。外部では主庭となるデッキテラス、2層にまたがる坪庭と バスコート、 キッチンサイドのバックヤード、屋上のルーフテラスまで。内部の空間でも通常の諸室以外にもワークスペース、プレイルーム(多目的スペース)、 書斎 などなど…。また仕上げに関しても外装は上下異種のツートン構成に、アクセントで石壁やルーバー、内部はグレイッシュなトーンで統一しつつも材種は多岐にわたり、オーダーのユニットバス(木造2階のため在来工法は難しく、ただしいかにもUB的な見た目は避けたい思いから)、ガラスのパーティション、外付けブラインドなど、これまで当事務所では採用したことが無かったアイテムも数々…。
そんな中でも特筆すべきことを挙げるとすれば、壁掛けエアコンで床下空間を利用した全館空調(一般的なダクト方式の全館空調とは異なります)でしょうか。この時高気密高断熱はマストで、 外部付加断熱も採用、 これも事務所ではじめての経験でした。UA値(外皮平均熱貫流率)は0.46。気密検査も行いましたがC値(機密性能の指標)は目標値の1.0を超える0.5となり、ホッと胸をなで下ろしたのもつい先日のことでした。
それにしても、ご主人の住いに対する熱意、色々な仕様に関する情報収集力、ご要望などを伝えるプレゼン力などは脱帽しきりのプロジェクトでした。我々も勉強させていただくことが多々あり、正直に言えば、何とか着いていったらそのまま完成できた感じです。妥協せず、どん欲に取り組む重要性を改めて認識させられました。