2×4(ツーバイフォー)工法は北米で主流になっている工法ですが、日本でも2×4工法を用いて多く建築物が建てられています。耐震性に優れていて、気密性・断熱性も高いのが特徴です。
ここでは、2,000万円を使って、2×4工法ならどんな家が建てられるか、実例をあげながら解説していきます。
2×4(ツーバイフォー)工法とはどんな工法か
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smile / PIXTA(ピクスタ)
2×4工法は北米で主流になっている木造建築の工法です。建築に使われる木材のうち、2インチ×4インチサイズが多いことから2×4工法と呼ばれています。
木造建築ではありますが、サイコロのように、天井、壁、床の面で建物を支えるため、耐震性にも優れています。特に、外国の絵本から出てきたような、かわいらしいカントリー調の外観が代表的で人気があります。
しかし、2×4はあくまでも工法なので、実際には外観もさまざまな種類があり、外壁や屋根も自由に選ぶことができることはあまり知られていないかもしれません。また、2×4工法は断熱性、気密性に優れているので、吹き抜けや大空間など開放的な間取りも可能です。
他にも、天井や壁の内側に貼られている石膏ボードは一定の温度以上にはならないので、耐火性にも優れています。使われる部材も規格が決まっていて、工場などで大量生産されているので、職人のレベルによらず一定の品質を保つことができます。工期も在来工法と比べて短く、仮住まいの間の家賃も節約できます。
一方で、デメリットは間取りに多少の制限がかかる点で、建物を支える壁の量やバランスに決まりがあるのが理由です。大規模のリフォームやリノベーションも難しいので、建てる前にきちんと話し合っておくようにしましょう。
2,000万円でどのような家が建てられるか
2×4工法を手掛けるハウスメーカーは大手メーカーだけではなく、中堅メーカーや工務店の一部も参入しており、値段には幅があります。予算2,000万円ですと、大手や中堅ハウスメーカーなら、2階建て30坪程度の住宅が建ちます。
一方、工務店やローコスト住宅でしたら、30~40坪程度の住宅も可能で、どちらも3LDKや4LDKの間取りで家を建てる人が多いです。狭小地や形状が複雑な土地に2×4住宅を建てる場合は、設計事務所がおすすめです。
実例!2,000万円で建てた2✕4(ツーバイフォー)の家
次は2,000万円前後で建てた実例を紹介していきます。どの実例も2×4工法が得意とする開放感がある大空間が取り入れられています。上でお話をしたように、輸入住宅のようなカントリー調の外観だけではなく、いろいろなタイプの外観がある点にも注目です。
鎌ヶ谷の住宅
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千葉県に建つ3LDKの住宅で、1階は一体化したLDKです。ダイニング部分に階段をもうけていて、吹き抜けもあることから明るくゆとりのある空間になっています。
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2階には個室と水回りがあり、センスが感じられる間取りになっています。フローリングやキッチンカウンター、階段、2×4の天井の梁など、随所に木材の温かみが感じられる住宅です。
松茂の家
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徳島県の30坪未満の4LDKの住宅です。1階部分はLDK+和室で、2階部分に部屋が3つあります。大きな開口部と贅沢な吹き抜け、そして、天窓でLDK部分はとても明るい空間になっています。
2×4工法は大きな開口部は取りにくいと言われることもありますが、壁の配置を考えると、このように大きな開口部も可能です。また、内装の明るい白色は壁紙ではなく、しっくい左官仕上げになっています。人が集まるリビングを中心にした、家族のつながりが感じられる間取りです。
ドライウォールと無垢材の家(ピアノ室のある家)
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東京郊外の4LDKの住宅です。一般的に、2×4住宅は木のフローリングや木製のサッシ・建具を採用していることが多く、この住宅もキッチンやフローリングには無垢材をふんだんに使っています。
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また、建具やサッシも木製で、温かみのある住宅になっています。こちらの住宅は玄関を入るとすぐにLDKになっていて、階段を独立させずにリビングにもうけており、2×4工法の断熱性・気密性を生かした間取りです。建物を総2階(1階と2階の面積と形状がほぼ同じ2階建て)した点がコストを抑えるポイントになっています。
敷地24坪。低層地域の完全2世帯住宅駐車スペース2台
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東京都にある4LDKの完全2世帯住宅で、玄関やキッチンなども全て別です。造り付けの収納を多く設けており、すっきりした空間を実現できています。
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低層地域で斜線制限などもありますが、最大限に天井高を使えるようにした設計で、木製のサッシや窓枠がアクセントになっています。
2,000万円で住宅を建てようとすると、どうしても収納部分は後回しになってしまいがちです。しかし、後で新しい収納家具を購入することを考えると、造り付けの収納のほうが部屋を広く使えて便利です。
S邸
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神奈川県の中心部に建てられた3LDKの住宅です。間口が3.6m、奥行き12mの3階建て住宅で、1階部分は駐車場になっています。
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2階はLDKが一体化した空間で、2×4工法が得意としている大空間が実現しています。
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ダイニングキッチン部分はロフトになっていて、3階には寝室と子ども部屋があります。木造の2×4工法というと3階建ては建てられるかと疑問を持つ人もいるかもしれませんが、決まった壁の量とバランスを確保できれば、3階建て住宅も可能です。
2×4工法と2,000万円で建てられる2×4住宅について解説してきました。開放感のある広々とした空間と木の温もりが感じられる空間が2×4工法の大きな魅力です。外観や内装も様々なバリエーションがあり、希望に沿えるデザインがきっと見つかるはずです。
文:渡辺藍(一級建築士・宅建士)