原宿にあるメゾネット形式の集合住宅の2室の改修。2室は、上下階、南北面に分かれ、且つ、上の部屋は来客や会議に、下の部屋はより日常的な利用を想定しています。この2室の間の性質の違いを手掛かりに、相対的なデザインを紡ぎ出していくことを考えました。
南面した上の部屋は、天井、壁に艶や硬度の異なる白い面材を配置し、且つそれら取り合いを隙間なく納め、明るさが広がる部屋としました。北面した下の部屋は、天井、壁、梁との仕上面の取り合いに隙間を設け、またアウトセット引戸や、家具・植栽を所々に配置することで、落ち着いた光が物と物との間に静かな影をつくるようにしました。
併せて、木と金属というマテリアルの、2室での配置、配合に違いをつけました。上の階は、ホワイトアウトした壁・天井に対する重力として、色味豊かなフローリングを敷き、且つ窓側のキャビネットを鉄板で覆うことで、部屋の重心を低くしました。下の階は、逆に濃い木質仕上げを散在させ、鉄材や真鍮を局所的にあしらうことで、素材感が、家具や植栽と相まって、部屋の中でばらけるようにしました。
一方で、この建物全体の特徴として、グリッド状の柱梁の構造体に対して、雁行して連なる角度の振れた窓があります。この角度のデザインを、異なる2室をさりげなく繋ぎとめる手がかりとなるように、マテリアルの定着のさせ方へ適用しました。具体的には、フローリングを、柱梁に対して斜めに、角度の振れた窓に対しては直交する方向に張りました。また本棚の側板や扉の竪框、キャビネットの把手らを、その角度に合わせて面取をしています。
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