敷地は都内の高台の傾斜地に位置し、東側と南側道路に面した角地である。
敷地面積は約33坪あり戸建住宅としては十分であるが、用途地域が第一種低層住居専用地域、建蔽率55%、容積率100%、斜線制限、条例など厳しい法規制がかかる。
上記の条件より、斜面に沿った最大限の地盤を積層することで、各層において敷地最大限の広さを具現化し、その地盤上に各諸室を配置していくことで、敷地全体を有効化することを提案した。
建物は地下2階、地上2階の4層で構成され、既存の地盤に掘り込まれた地下2階にゲストルーム。地下1階にガレージ、書斎、エントランス、ウォークインクローゼット。1層目の地盤にリビングとダイニングキッチン。2層目の地盤に水廻り、主寝室、子供部屋を配置している。各層の地盤に配置された諸室は、それぞれに個性ある内装を選択することで、積層された地盤内における各諸室の場所性を強めている。
既存の地盤レベルは、趣味のガレージ空間を中心として、エントランス、書斎を配置し、間仕切りをガラス張りとしている。地下2階のゲストルームは上部を吹き抜けとすることで、ガレージへと視線を連続し、全ての部屋が見渡せるワンルームの空間としている。また、天井にあたる1層目の地盤を浮かすことで、地下でありながら十分な採光、通風を確保するともに、外部へと視線を連続させている。
1層目の地盤は、東南の道路面をガラスとしてその廻りにテラスを配置している。テラスの外側には半透過する目隠しを設けることで、道路面からの視線を遮りながら、柔らかい光を内部空間にもたらし、リビング、ダイニング空間に広がりをもたらしている。また、天井にあたる2層目の地盤の段差にはスリットを設ける事で上階のテラスへと視線を連続させている。
2層目の地盤には、それぞれ独立した各諸室の必要ボリュームを配置し、残った地盤をテラスとすることで、各諸室から直接テラスへ出ることが可能となっている。
斜面に沿った敷地に最大限の地盤を積層させることで、全ての層が敷地最大限に有効化されると共に、その地盤上の諸室に接地性をもたらし、諸室から地盤、地盤から外部へと空間が広がっていく住宅を実現している。
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