一般的な住宅…というとほとんどの人が2階建てをイメージするのではないでしょうか。でも敷地が狭かったりすると、縦に長くということで3階建てを視野に入れて住まいを検討する人も少なくなさそうです。
そこで今回は、3階建てを手に入れるための基礎知識、住み心地や、メリット・デメリットをまとめました。
3階建てが建てられる場所は限られている!?
そもそも、3階建て住宅は建築するための条件があります。それは、家を建てようと思っている場所が「第1種低層住居専用地域」ではないこと。これは都市計画法に基づく “用途地域”によるもので、住居、商業、工業といった大枠としての市街地の土地利用を定めて、用途の混在を防ぐことを目的としています。用途地域によって、景観や街並みが大きく変わってくるとも言えます。
「第1種低層住居専用地域」とは、低層住宅のための地域で、2階建て以下の小さなお店や事務所を兼ねた住宅、小中学校などが建てられるとされています。
そのため3階建て住宅は、閑静な住宅街では建設されにくく、駅に近いエリアやバス通りに面した場所などに建設されやすい、というわけです。
ちなみにこの“用途地域”は12種類あるのですが、住みたいエリア、土地がどの用途地域なのかを調べるには、役所で教えてもらうことができるほか、自分でもGoogleやYahoo!といった検索エンジンで「○○区 用途地域」で検索すると出てきますよ。
3階建てのメリットって?
3階建ての最大のメリットは、限られた土地を有効につかえるということ。土地の取得費用が比較的安く済みます。
また、3階建て住宅が建てられる場所は、敷地にゆとりがなく、両隣りの住宅も建て込んでいるなど、込み入った土地のケースが多いため、そうした住宅地でも3階建てにすることで、採光を確保できるのがメリットのひとつです。
床面積、つまり部屋数を増やすことができるので、たとえば2階、3階の部屋すべてにちょっと広めのバルコニーを設けると、洗濯物や布団を干したりするなど実用的なだけでなく、3階の眺望がよかったり、空間に広がりが生まれそうです。
また、子どもが大きくなって、家族の生活空間と子ども部屋を分けたい場合、2世帯などで家族のプライバシーを尊重したい場合などにも、階が異なることでちょうどいい距離感を保ことができそうです。
住宅兼店舗、あるいは住宅兼事務所といった、住宅以外の機能を持たせたい場合にも3階建ては有効ですね。ほかにも、駐車場も欲しいし庭もほしいなど、限られた土地で住まいの要望をかなえようとすると、上に積むしかない…という考えかたもあります。
3階建てのデメリットって?
逆に3階建てにはデメリットもあります。大きなデメリットのひとつが、生活動線が長くなり、階段の昇り降りが大変…ということです。
たとえば重量があり、大きな浴室は1階に設置するとして、2階はリビング、3階は寝室や子ども部屋…と仮定して、キッチンで料理をしながら洗濯機を回すことを考えると、1階と2階を行き来して2階のバルコニーに干して、最終的には3階のクローゼットに衣類を運ぶなど、めまぐるしい家事動線になってしまいます。
これは家事においての話だけでなく、朝起きて、顔を洗って、着替えをして、朝ごはんを食べるという一連の“朝の支度”を考えてみても同じこと。3階から1階へ降りて洗顔し、3階で着替えてから2階のリビングへ…ということになります。
また、3階建ては一般的に建築費が割高になってしまうこともデメリットのひとつ。特殊な構造計算が必要になること、またベランダを部屋ごとに設置したり、エレベーターを検討したりすることも要因ですが、もうひとつ、水道を3階にもひこうとすると高圧の水道が必要になるため、どうしても割高になります。寝室は3階にあるのに、トイレは階下へ、というのは3階建て住宅によくある話なのです。
もうひとつ、見落としがちですが、北側の隣家の採光はどうしても悪くなってしまうため、もともと北側に隣家がある場合は、家を建てるのに気が引ける…ということも。
1階部分の採光は難しい場合が多く、1階はガレージと玄関、玄関収納のみとしている3階建て住宅もあるようです。車を2台所有している、したいという場合は、1階をガレージにした3階建てを検討してみるのもよさそうですね。
いかがでしたでしょうか。
3階建てには、メリットもあればデメリットもあります。土地の条件によるところも大きいですが、家族で何を大切にしたいかを見極めながら、家づくりができるといいですね。
Text SuMiKa編集部