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2018年 1月31日

新築に、「あなたらしさ」を。
古材で空間をプロデュースするスペシャリスト、植松和典さんと「casa」が生み出したデザイン住宅「casa rozzo」

株式会社カーサ・プロジェクトが展開する住宅シリーズ「casa」。自分らしい暮らしを探す人のツボをついたコンセプトと高いデザイン性で話題です。そんなシリーズ最新作「casa rozzo(カーサ・ロッツォ)」のモデルハウスが、このたび仙台に登場。

この「casa rozzo」の内装を手がけたのは、イギリスのアンティーク家具や建築古材で培われた素材の選び方に定評があり、古材で空間をプロデュースするファクトリー・ツール代表取締役の植松和典さん。

今回は、植松和典さんとカーサ・プロジェクト取締役の佐藤共之さんに、誕生の経緯や特徴などを伺いました。






ラフさとその人らしい空間


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仙台に登場した「casa rozzo(カーサ・ロッツォ)」のモデルハウス。左からモンターニヤ、グランデブル、ヴィッラと、玄関周りには各スタイルのアクセントカラーが配されている。

casaの住宅は、自分らしい暮らしの追求が、コンセプトやデザインの重要な鍵になっています。このたび登場した「casa rozzo」のテーマは「らしさ」。そのキーワードを元に、コンセプトからスタイル展開、建材選びやインテリアプラン、雑貨や照明の選定まで手がけたキーマンが、ファクトリー・ツールの植松和典さんでした。

今回プロジェクトの依頼をいただいた際、私が古材などを長年扱ってきていることもあり、カーサ・プロジェクトさんから「ヴィンテージ感」という、今、世間に受け入れられている言葉のご提案がありました。しかし、そもそも「ヴィンテージ感」って何なのだろうかと。まずその追究から始め、人の手が加わった有機的な感触、そして生活が見える素材や空間にカッコよさを感じるのだと分析しました。それらをベースに、従来のcasaシリーズのシンプルさも損なわず、暮らす人の住まいづくりをお手伝いできるハコにできればと。結果、みんながワクワクできるきっかけを生む家になったと思います(植松)

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カーサ・プロジェクト取締役の佐藤共之さん(左)と、ファクトリー・ツール代表取締役の植松和典さん(右)

植松さんがテーマに掲げたのは、スローガンにもなっている「Simple but Yours」。つまり、シンプルな中にも住む人らしさが感じられる家です。このテーマをより具体的にする魅力の一つが、建物だけでなくキッチンや家具までがパッケージ化されている点。casaシリーズでも初の試みとなります。

今はライフスタイルという言葉ばかりが飛び交い、その本質がきちんと理解されていないと気になっていました。そこで、開発から販売の間にブレが出ないよう5つのスタイルを提案し、内装材やアクセントカラー、照明まで大枠をコーディネイトしました。ある程度方向性が提示されていると、お客さんも追加する家具や雑貨を選びやすいんです(植松)

ちなみに「casa rozzo」のrozzoとは「ラフさ」を指す言葉。一つのスタイルを軸として、余白(ラフ)に住む人の個性を加えることで「自分らしい家」が完成する。そんなメッセージも含まれているのです。






スタイルを提示するイメージ


「casa rozzo」の基本スタイルは、モンターニヤ、グランデブル、クラッシカ、ヴィッラ、ウルバーナの5種類。これらはどのように設定されたのでしょうか。

軸にしたのはファッションです。例えば、モンターニヤならノースフェイスを始めとしたアウトドア系、クラシカならハリスツイードやオールドミニなどのブリティッシュ系という感じ。さらに、そうしたファッションを好む人が惹かれそうな他の要素も加え、内装に盛り込みました。前者は山遊びやキャンプ、後者はコーヒーと読書。そんな人の暮らし方が見えてきませんか?(植松)

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写真はモンターニヤ。森や林、自然を感じさせるアイビーグリーンが、シックで暖かみある空間を演出している。収納棚奥の壁面がスタイルごとのアクセントカラーに変わる。

このスタイルをより明確に伝えるのが、アクセントカラーです。モンターニヤはアイビーグリーン、グランデブルにはエメラルドブルー、クラッシカはボルドー、ヴィッラはシトロンイエロー、ウルバーナはブルーグレー。文字だけでも独特の空気感が伝わってくるようです。

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写真はグランデブル。個性的なエメラルドブルーのアクセントカラーが、白系の加工材や素のパイン材によく合っている。

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casarozzoのカタログに掲載されているスタイルのイメージ。それぞれキーワードとなるイメージやカラーとともに。

例えば、グランデブルのキーワードは、海やサーフィン。通常なら白が選ばれるけど、それだけにはしたくなかったんです。パイン材に合うエメラルドブルーを選んだことから、他のスタイルに合う色を選ぶことになりました。ライフスタイル感度の高い人にはきちんと伝わるだろうと、建築屋さんは絶対に選ばない色にしています(笑)(植松)






人と生き方を中心に考えた設え


また、据え付けの家具は、どれも暮らしを豊かにする力と役割を備えています。たとえば、ワークテーブル。植松さんは、家の中心であり、日に何度も家族が集うキッチンにあれば、新たな「コトを楽しむ」可能性を広げる場になるはず、と。またキッチンと同素材の収納扉は、開けると趣味を強調し、閉めるとシンプルになる構造で、リビングに2つの表情をつくり出します。

収納扉の開閉はコンセプト初期からあり、「casaはシンプルなイメージなので」と言われてとても納得できました。家具や照明まで一括してつくったのはシリーズ初ですが、やはりすごく統一感がありますよね(佐藤)

僕は、住宅にはシンプルしかないのかとずっと疑問を持っていました。そうではなく、住む人が望む暮らしに沿い、自分はこんなものも好きだったのかと気づかせる場にできないだろうか、と。そこでシンプルさも保ちつつ、趣味を自分らしく表せる場があればとつくったのが、収納扉と飾り棚です(植松)

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グランデブル(上)とモンターニヤ(下)のキッチン横。アイアンの飾り棚は同じだが、アクセントカラーでイメージがかなり変わる。

こだわる人は日常品もこだわって買うはず。見せたいという気持ちもあるはずだから、それを満たす仕掛けと余白をつくっておく。その仕掛けがあることで、お気に入りが増え、家への愛着も深まるというわけです。

生き方中心の家ですよね。僕は暮らしに妥協したくないんです。みんなそう思っているのに、今までは「住宅は妥協すべき」という変な観念があった。そんなはずはないですよね、ワクワク楽しい空間が一番です。今後はそこを叶えられる住宅選びが普通になっていくと思いますよ(植松)






素材感のある手触りと既製品の品質を融合する


新築なのに、人の手ざわりや時間を感じる秘密。それは、オーダーメイドのよさを残した規格品を利用しているから。双方の知識に精通した植松さんならではの設えでした。

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味のあるペグボードがポイントのモンターニヤ(上)と暖かみあるストローボードを使ったヴィッラのキッチン(下)。

casa rozzoは、既製品インテリアブランド「ロスト・アンド・ファウンド」製品をつかっていますが、仕上げや手づくり感に古材にも合うテイストがあるでしょう。これは新品で一般流通していても、あまり使われていない素材を選ぶなどの工夫をしているから。さらに、目につく小さな雑貨などにのみ古材を使い、組み合わせで雰囲気を高めています(植松)

他社にはない個性的な仕上がり。casaらしい、住む人の気持ちに響くデザインができました。自然材ならではの節や削り跡など、一般的な住宅なら弱点になる要素までカッコよさになる設えです。

既製品を始める前はオーダーメイド品でエイジング加工もしていましたから、僕らからすると傷は意匠です。傷の捉え方は人によって違うので、入れ方には注意していますが、節や軽度の割れ、塗料の吸い込みムラは本来自然素材なら普通のこと。均質な大量生産品とは違ったいい味になるんですよ(植松)

「casa rozzo」の開発では、素材づかいや配色も自由。価格設定と品質担保以外に制限がないのが唯一の悩みだった、と植松さんは笑います。






人のつながりが生んだ「casa rozzo」と


casaシリーズでも特にオリジナリティに溢れた「casa rozzo」ですが、実は、誕生のきっかけも独特でした。数年前からミッドセンチュリーやレトロなヴィンテージ感のある住宅の要望を受け、新たな展開ができないかと思案を続けてきたカーサ・プロジェクトの佐藤さん。植松さんと話すうちに、一つの確信を得たと言います。

植松さんのヴィンテージものの知識や経験が本当にすごかったんです。職人気質な熱いこだわりにも感動し、これならすごいものができそうだぞと。新商品をつくろうとその場で決めてしまいました(佐藤)

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愛知県にあるファクトリー・ツール本社。事務所のインテリアも自社商品でまとめられている

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内装やインテリアを手がけた店舗や住宅は全国に多数。

casaさんの住宅はシンプルでクールな印象ですよね。うちの会社は“汗を形にしたい”って熱い人間が多いから、お声がけいただいた時は、うまくやっていけるのかなと。でも、実際にお話すると、佐藤さんの家づくりに対する熱い想いが伝わってきた。それで人ありき、人に想いを伝える仕事ができると感じ、お手伝いさせてもらうことに決めました(植松)

長年、建材の輸入・製造販売、インテリアのプランニングから施工、オリジナル家具の製造販売と住宅全般を扱ってきた植松さん。特に家具はオーダーメイドと規格品双方のラインでそれぞれのよさを追求してきたプロだけに、佐藤さんが心を掴まれたのも必然的だったと言えます。

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今回お声がけいただいたことにも繋がりますが、ヴィンデージはすごく扱いやすくなりましたね。認知度も低く、『カッコいい』ではなく『傷もの』と言われていた頃に比べると、今は社会に求められている感もありますから。僕らのスタンスを理解してくださる方が増えたと言えるかもしれませんね。だけど、今も昔も納得してくれるお客さんにしか販売していません。僕らが誠意を持って仕事をするのは当然ですが、よりよいものをつくるには、まず意見を言い合える間柄が重要なんです(植松)

その意味でも、同じ目線で取り組めてよかったと笑う植松さん。双方の住宅に対する想いが合致したからこそ、「casa rozzo」が完成できたのでしょう。






その人らしさと暮らしの楽しさを広げる住まい


好みに合ったスタイルを選ぶ楽しみはもちろん、新たなスタイルに自分の好きなものを加えることで可能性や広がりも楽しんでもらえるはず、と語るお二人。最後は、どんな暮らしを楽しんでほしいかを伺ってみました。

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その人らしく使ってもらえれば。僕らつくる側の価値観に共感してくれる、自分の生き方を持った人なら、いい使い方をしてくれると思います(植松)

趣味が増えたり、服装がカッコよくなったりとお客さんの人生が変わるきっかけになるといいですね。ワークテーブルや飾り棚などの所作があれば、ちょっといいコーヒー器具を買って飲んでみたくなるのでは。自分はこういうのが好きなのかも、と気づける空間になればいいですね(佐藤)

いろんなことにトライしたくなる「casa rozzo」。シンプルだけど自分らしさを出せる場は、人と楽しむことの可能性をつなげ、住むことを楽しくする近道になりそうです。

ちなみに、「casa rozzo」は規格住宅のオンラインマーケット「スマートメイド住宅」でも取り扱いがあります。躯体や外観、間取り、インテリア、エクステリアを好きに選んで、自分の好みにぴったりとフィットする家づくりを楽しんでみませんか。

「casa rozzo」について詳しくはこちら
https://www.casarozzo.com/

規格住宅のオンラインマーケット「スマートメイド住宅」で「casa rozzo」を選ぶことができます
https://sumika.me/smartmade

<モデルハウスDATA>
カーサ仙台(株式会社安藤工務店)
宮城県仙台市若林区蒲町字東35-2 マジェスティ蒲町101
022-290-3734
http://casa-sendai.com/

Text 木村早苗
Photo KEICO PHOTOGRAPHY(人物)

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