建築家と家づくり 好きに暮らそう SuMiKa
2012年 4月 2日

趣きのある日本家屋の本来の良さを残し、甦らせるリノベーション

上質な和の設えを残しながら、新設部分のデザインにも踏襲。キッチンと水まわりにリノベの的を絞り、適正コストで仕上げる。

text_ Yasuko Murata photograph_ Kai Nakamura

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小屋裏を露出して開放的な空間に生まれ変わったダイニングキッチン。キッチンは新たに造作。床には、琉球畳をイメージしたサイズと色に仕上げたラワン合板を使用。

NH邸

東京都福生市
〈プロデュース〉Boo-Hoo-Woo.com+ルーヴィス

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Renovation DATA
築年数 36 年
延床面積 116 m2
工事費 600 万円


 趣のある日本家屋。この家を見た瞬間、「家族で暮らしている様子がイメージできた」と話す中西寛人さんは36歳の会社員。奥さまの真実さんは29歳で、3歳と1歳のお子さんがいる。近所に住んでいた中西さんご家族が偶然見つけた物件は、旅館のような立派な玄関、庭に面した縁側、襖で仕切られた和室などで構成された、当時築36年の木造2階建て。延床面積は116㎡にもなる。

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左/2階は天井を撤去し、2つの和室の襖を取り払って一室に。小屋裏をあらわし空間の印象を変えた。壁は珪藻土仕上げ。
右/和室は畳を取り替えて、傷んでいた箇所を修復した。

「当然、リノベーションの必要がありましたが、予算が限られているため、できる部分だけやるつもりでした。私たちが気に入った古い家の趣を、良い方向に活かしてくれそうな会社を雑誌やウェブで探し、ブーフーウーに相談しました」(寛人さん)
 建築プロデュースサービスを展開するブーフーウーと共に中西邸のプロデュースにあたり、施工も担当したルーヴィスの福井信行さんは、
「全体的に手を加えるとコストが膨大になるし、そもそもが良い素材で建てられている家だから、新しくつくってももともとを超えられない。大幅に既存を残し、そのイメージを踏襲して、水まわりを中心にリノベーションしていくことにしました」

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左/元は押入れだった位置に壁と引き戸を新設し、洗面室を造作。和室から出入りする不思議な動線。
右/浴室はダイニング側に拡張して広さを確保。ブルー系のモザイクタイルと白のタイルで仕上げた。

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左/キッチンを始め設備は一新。
右/洗面台は新設。隣のトイレは位置変更なし。

 ダイニングキッチンは天井を解体して小屋組を見せ、床は畳をイメージした色とサイズのラワン合板に変更。キッチンは造作して設備も一新したが、レトロな食器棚や収納はそのまま残した。浴室は面積を広げ、モザイクタイルを使用して造作。洗面を隣の和室の押し入れの位置に移動することで、建具や壁の位置変更を最小限に留め、水まわりを新設している。一家4人の寝室となる2階は、和室の襖を取り払ってつなげ、こちらも小屋組をあらわし、床仕上げを杉のフローリングに変更。壁は上下階とも珪藻土で塗装している。

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ダイニングキッチンの壁も珪藻土仕上げ。奥の廊下が水まわりと和室に続く間取り。

「どこを残すかの選択で状況が変わるのが、既存を残すリノベーションの難しさであり、面白さ。新旧を取り合せる解体や施工には技術が必要で、実は時間も手間も予算も意外に掛かるのですが、使える・残したいと思える部分が多い物件を探し、リノベーションのポイントを絞り込むと、コストと内容のバランスがとりやすいでしょう」(福井さん)

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左/床柱もそのまま。既存の内装はきれいに整えた。
右/広い庭と縁側に面した2つの和室。縁側は居間側まで続く。

 古い家ならではの良さを活かし、リブランディングする感覚で取り組むリノベーションは、いちからの空間づくりを楽しむリノベーションとはまたひと味違う、中古一戸建ての新しい活かし方と言えるだろう。

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玄関横の和室を居間として使用。襖は襖紙を貼り直し、障子も洗い上げて既存流用。新たにつくったものは、床の間だった部分の床と可動式の壁面収納。


〈物件名〉中西邸 〈所在地〉東京都福生市〈居住者構成〉夫婦+子供2人 〈建物規模〉地上2階建て 〈主要構造〉木造 〈建物竣工年〉1974年 〈敷地面積〉249.90㎡ 〈建築面積〉90.13㎡ 〈床面積〉1階 90.13㎡、2階 25.51㎡ 計116.55㎡ 〈デザインプロデュース〉Boo-Hoo-Woo.com+ルーヴィス 〈施工〉ルーヴィス 〈設計期間〉1.5ヶ月 〈工事期間〉1.5ヶ月 〈竣工〉2010年 〈総工費〉600万円


Yasuyuki Okazaki


岡崎泰之 「9坪ハウス」などデザイン住宅の企画・販売、デザイナーズ物件の賃貸・分譲、家具や雑貨の販売、インテリアスタイリングまで、インターネットでワンストップで提案するライフスタイルショップ「Boo-Hoo-Woo.com」代表。

Boo-Hoo-Woo.com
(ブーフーウー)
東京都渋谷区猿楽町30・8
ツインビル代官山B-203
TEL 03・5456・5833(不動産・住宅事業部)
www.Boo-Hoo-Woo.com
www.9tubohouse.com(9坪ハウス)
www.tokyohouse.jp(東京ハウス)

Nobuyuki Fukui


福井信行 1975年 横浜生まれ。アンティーク家具のバイヤー、不動産会社勤務を経て、2005年にリノベーション会社「ルーヴィス」を設立。マンション、戸建、収益物件等、年間30件程のプロジェクトを手掛けている。

株式会社ルーヴィス
神奈川県横浜市神奈川区
神奈川2・3・5
TEL 045・534・3045
www.roovice.com

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