以前greenz.jpでもご紹介した「MaGaRi」は、不動産に新しい価値観を提案するウェブサイトとして大きな話題となりました。そんな「MaGaRi」から生まれた新たなプロジェクトは、“逆”不動産情報。魅力的な活動を行う個人や団体を紹介することにより、それに共感するオーナーや間貸し希望者を募集するプラットフォーム『Talent(タレント)』です。
通常、不動産情報といえば物件がずらりと並んでいるものを想像しますが、『Talent』が紹介しているのは、個人や団体。サイトには、話題のプロジェクトや新展開を目指すNPOなど、自分たちの活動拠点を探している人たちが登場しています。
“物件オーナーが借り主を募集する”という一方通行のアプローチが当たり前だった不動産情報に、“借りたい人が物件オーナーを募集する”という新たな流れを生み出す『Talent』。さっそくサイトを覗いてみましょう。
こんな人たちが物件を求めて登場しています!
例えばこちらのページで紹介されているのは、農家に生まれ、東京に暮らす若者たちによるプロジェクト「セガレ」。彼らは現在、週末に都内で実家で育てた野菜を販売しているのですが、週末だけではなく毎日販売したいと考えています。そこで、『Talent』を通し、八百屋として貸し出してくれる物件を探しているのです。
一方、若手漫画家を支援する「トキワ荘プロジェクト」は、漫画家の卵たちのアジトとなる物件を探しています。かつて手塚治虫、藤子不二雄らが巣立って行った場所として知られる「トキワ荘」の現代版は、漫画家になる夢を持った若者たちで常に満室状態。物件が足りない状況なのです。
彼らのように、起業したりマイプロジェクトを始めた方で、活動拠点として良い物件が見つからないと言う方も多いのでは? サイトには現在3団体が登場していますが、近々、建物の壁や内装へアート作品を描きたいアーティストや、屋外空間などで結婚式をあげる方々を支援するユニットの逆不動産の募集がアップされるというウワサも。(ん?どこかで聞いたような……)なんだかこれから、ますます盛り上がってきそうですね。
共感と安心から生まれる出会い。情報の切り口は“人”
さて、簡単に物件を探している方々をご紹介しましたが、『Talent』のページでは活動内容やコンセプトも詳しく紹介してくれます。セガレの記事では、「やけに面白い八百屋」「ヴィレッジヴァンガードみたいな八百屋」なんて表現があり、普通の八百屋じゃないんだということを伝えていますよね。
オーナーさんはこれを読んで応募を検討するわけですが、借り主の属性や具体的な利用形態を見定めることができるので、安心なんだそうです。実際、応募の申し出のあったオーナーさんからは、
「普通の不動産だとどんな人から応募がくるかわからなくて怖い」
「信頼をおける人を薦めてくれるのであれば、逆不動産情報をぜひ利用したいし、応援したい人だったら少し家賃が安くなってもよい」
といった声も届いているのだとか、不動産の契約関係と言っても、やはり人間同士の出会い。オーナーさんも、諸条件だけでなく、「この人になら貸したい!」と思えるような、共感できる借り主を求めているんですね。
一方、借り手としても、活動に共感してくれた方から物件を借りることができるのは、願ってもないことでしょう。双方にとってメリットのあるこの仕組みの中心に据えられているのは、借り手と貸し手という“人”。「MaGaRi」と同様に、『Talent』においても情報の切り口は、やはり“人”なのです。
これまで立地、家賃など“ハードありき”だった不動産情報。「MaGaRi」において、新たな居住スタイルと共に”人となり”や想いといったソフト面の軸が加わり、『Talent』ではその軸を持ちながら情報の流れが双方向になりました。ここにまたひとつ新たな付加価値が生まれ、サイトの本来の目的である”人と人をつなぐ”という機能もますます活性化していきそうです。
キラキラと才能(Talent)が輝く場所に
最後に、『Talent』を運営するドラマチックの今村さんに、サイトのネーミングの由来を聞いてみました。
日本では、タレントというとテレビタレントがイメージとして浮かんでしまいますが、「キラキラとした才能と可能性を持った人」という、とても素敵な意味があるような気がしています。そこで、MaGaRiでは、キラキラと輝く才能と可能性があり、ユニークに場をつかう方々のことを“Talent”と呼ぶこととしました。“Talent”の方々が逆不動産の仕組みを使い、良い場所と出会い、活動をのびのびと活発化してもらえたら、それほど嬉しいことはありません。
『Talent』では、自分たちの活動やプロジェクトを掲載し、場所を募集したい個人、法人、団体の方を随時募集しています。サイトの性質上、全ての方を掲載するお約束はできないとのことですが、「我こそは“Talent”だ!」というみなさん、一度お問い合わせしてみてはいかがでしょう。自分で探していたのでは出会えなかったような物件、そして共感してくれるオーナーさんとの運命的な出会いが待っているかもしれません!