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記事作成・更新日: 2014年10月17日

大工さん自ら設計!大胆かつ洗練された空間  MAD City vol.10


地方都市に多く眠る古いアパートやビルを住まい手に合わせてカスタマイズ。
そんなリノベーションの可能性を紹介している「リノベのススメ」(『コロカル』で連載中)より。


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設計から現場もこなす、MAD Cityの頼れるアニキ。

DIYの基本は、「自分でいいものをつくりたい」という気持ちが大事だと思うんです。
常にこの「Do It Yourself」の精神を忘れない大工さんがMAD Cityにはいます。
それが、千葉市稲毛区に事務所を構える昭和12年創業の工務店・木村建造の三代目として、さまざまな物件の建築に携わってきた木村光行さんです。

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まず、MAD Cityと木村さんの関係性について語る前に、
少しだけ「木村さんがどんな人なのか」について説明させてください! 
大工さんというと、どこか伝統的な職人気質なイメージがありますが、木村さんはそんな「大工」の固定観念を覆す超アグレッシブな大工さんなのです。
まず、学校を出て、稼業の大工を継いだ後、当初は注文住宅などを建てる、「受注仕事」をメインにおこなっていた木村さんですが、仕事を重ねるごとに、個性が光る店舗リノベーションや、家のリノベーションなどにも興味を抱くようになったのだとか。
(詳細はこちらhttp://kimurakenzo.com/

ちなみに、木村さんが「自分の好みをふんだんに盛り込んだ家」と自負する自邸がこちら。

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外観からもその広さがうかがえます。

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光がたっぷり入る広々リビング。まるでモデルハウスのよう!

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清潔感のあるホワイトカラーの浴室。

何から何まで、オシャレすぎるご自宅。
「ウン千万のローンを組んでしまいましたが、おかげでいろいろと勉強になりました」
という木村さん。「自分でやってみたいから」という理由で、そこまで大金を投じるスタンス。規模が違います!

いろいろ前置きが長くなりましたが、MAD Cityが管理する物件のひとつである旧・原田米店のあるお部屋の改装時、現場の作業を木村さんにお願いしたことがきっかけで、MAD Cityと木村さんのお付き合いが始まりました。

「地域住民やクリエイターなど誰かと一緒に、まちづくりや物件づくりがしてみたい」
と考えていた木村さんは、MAD Cityと意気投合。そして、かねてからマンションのリノベーションに興味を持っていた木村さんが、MAD City運営の「いろどりマンション」にやってきてくれたのです。

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「いろどりマンション」は、松戸にある大型分譲マンションの一部をMAD Cityが借り上げ、リノベーション可能な賃貸物件。
住居者の方々の個性を反映して、自由にDIYしている個性豊かな物件です。
木村さんは、そのなかの一室を契約し、木村スタイルのリノベーションをスタートさせました。

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改装前のお部屋の様子。

まずは、壁や押入れ、床など、すべてを取り払って、部屋をワンルームに。

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もともとの内装もとり、あらわれたコンクリートの壁。

壁も床も取り払ってすっきり、広々空間に!
むき出しの床に、少しずつフローリングを張っていきます。
もちろんこの作業は当然大工の木村さん自ら全部やられたそうですよ。

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床材を貼っている様子。

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最終的にはこんなにキレイになりました!

どんな物件を手がけるときも「常に“ハッ”とするポイントをつくりたい」
と語る木村さん。このいろどりマンションで言えば、特に気を使ったのがブロックを積んだキッチンカウンターです。

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カウンターキッチンの脇には、棚のような小さなスペースを設けるなど、ちょっとひと味違ったカウンターづくりを目指したそうです。

作業としては、ブロックを床に積んで、接着剤とベニヤ板を重ねます。

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積み上げていって、一部に「棚」の部分となる空間を作ります。

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そして、カウンターとなる板を載せて完成!

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実にいい感じです! 以前の畳張りの部屋が嘘のようです。

「ブロックを使用したカウンターって、たくさんあるんですけれども、こうやってベニヤを積んだかたちでつくることはとても珍しいんです」と木村さん。
というのも、本職の大工さんだったら、「崩れないように」と安全性を重視して、ぎっしりブロックを上から下までビッチリと積むため、棚のような空間を作ることなどはまずないのだとか。
「たしかにブロックはきっちり積んだほうが安全ですが、このくらいのスペースだったら問題ないのはわかっているし、接着剤とベニヤ板で補強できているので、耐久性には問題ないんですけどね」とのこと。
本職の大工さんだからこそ、「融通をきかせてもよい部分」が肌感覚でわかっているってことですね!その他にも床の貼り方など、同様の「大工ならでは」の工夫をたくさん凝らしているそうです。

一般人のリノベーションだとさじ加減がわからない水回りも「少しでも広く使えるように」と、トイレの位置を動かしたり、扉を取り払ったりしたそうです。
このあたりの思い切り具合、さすがプロです。

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洗面台の土台。

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大きな洗面ボールと鏡を採用し、より開放感のある洗面台に。この大きな洗面ボールはなんと、学校用の製品でお値段も手頃なんだとか。

現在、この部屋はモデルルームとして公開しており、この部屋を見た同じマンションの住人の人々から、「自分の部屋もやってほしい」「キッチンのリノベの相談にのってほしい」などと声をかけられることが増えたそうです。

それにしても、なんでこんなに木村さんは現状に満足することなく、いろんなことに果敢にチャレンジするのでしょうか?

「まず、ひとつには僕は自分がやったことがないことは、お客さんに薦めたくないんですよ。たとえば、自宅をつくったときも『ガラス張りのバスルームを勧めるデザイナーって多いけど、本当にいいのかな?』『窓が大きくてたくさんあるように設計された家が増えているけど、それって本当に便利なのかな?』といった疑問があったから。実際、やってみたらガラス張りのバスルームはオシャレだけど、すぐに水滴がつくので掃除が大変だし、窓が多いと夏場は暑くて家のなかが蒸し風呂状態になってしまう(笑)。こういうことは、自分で実践してみないと、絶対にわからないことだと思うんですよね」
成功と失敗が渾然一体のコメントです。

そして、もうひとつの理由が木村さんの「好奇心」。

「大工の世界は、伝統を重んじる傾向があって、あまり新しいことにチャレンジしようとする人っていないんですよ。でも、僕はすごく好奇心が強いほうなので、ほかの人と同じことじゃなくて、ちょっと違ったことをしてみたい。そして、誰も見たことがないような新しいものをつくってみたい。だから、いろんなジャンルに手を出してしまうんでしょうね」

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「デザイナーのほうが大工よりカッコイイ、イメージがありますが、『大工だってすごいんだぜ!』ってとこを、もっと見せつけたいですね」と木村さん。

その好奇心はとどまるところを知らず、現在は、木材でビルをつくるという、国土交通省の主導する国家事業のプロジェクトチームの一員として参加している木村さん。
そちらは耐震の問題をどうクリアするかという内容らしく、今では耐震についても詳しくなっているとのこと。
「松戸のまちに木造のビルをバンバン建てたい!」と目をキラキラと輝かせながら語る木村さんにますます目が離せません。

実はこれから、木村さんがMAD Cityの一員として、ある企画のプロジェクトを進める計画がありますので、注目いただけたらと思います!
(詳しくはMAD City HPにて)


writer’s profile

MAD City
マッドシティ

千葉県・松戸駅周辺エリアにて、まちづくりプロジェクト「MADCityプロジェクト」を推進中。クリエイターなどを誘致する不動産サービス事業「MAD City不動産」、新旧住民のコミュニティを創出するまちづくり事業に取り組み、創造的なエリアづくりを目指しています。

information

MAD City(株式会社まちづクリエイティブ)
住所 千葉県松戸市本町6-8【map】
電話 047-710-5861
http://madcity.jp/


※この記事はcolocalに2014年8月30日に掲載されたものを転載しています。

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