「暮らしのものさし」では、ただ消費者として暮らしを営むのではなく、自分の暮らしをデザインする、“暮らしのつくり手”たちを紹介しています。※この特集は、SuMiKaとgreenz.jpが共につくっています。
タイニーハウスビルダーの竹内友一さんが10月から始めた「日本初」のタイニーハウスワークショップに講師として参加するため、竹内さんの師匠でもあるタイニーハウスムーブメントの先駆者の一人ディー・ウィリアムスさんが来日。
最近タイニーハウスに住み始めたグリーンズ代表/編集長の鈴木菜央さんが、竹内さんとディーさんに話を聞きました。
対談というよりは雑談で気楽なものでしたが、「暮らし方」について考えさせられるお話をたくさん聞けましたので、抄訳ですが、おとどけしたいと思います。
菜央さんと竹内さんは2人ともディーがTEDxに出演したYouTube動画を見て、ともに感銘を受けたといいます。ですので、まずはこの動画についてさらに聞きたいことがあったという菜央さんとディーさんの対談形式でお届けします。
この動画にはほんとうに様々なことが詰まっていて、感動的でもあります。この記事の最後に日本語訳を載せましたので、合わせてぜひ観てみて下さい。
シンプルに生きる
菜央 2年ほど前、もっとシンプルに暮らして行きたいと思ってタイニーハウスについて色々調べていた時に、YouTubeであなたのTEDxのスピーチを見て、それからずっと会いたかったので、こうして会えて、本当に光栄です。
竹内さん 僕は日本に来るまで待てなくて会いに行っちゃったけど。
菜央 TEDの動画の始まり方がショッキングです。「今日な、モノについて考えてみましょう。あなたには、これを抱いていたい、思うモノはありますか?………死の間際に」と始まる。そして、「あなたが居たいと思う場所は、どこですか?……最後の息を吐き出すときに」と続く。ほんの30秒くらいの時間ですが、強烈な問いかけです。
なぜ、あんなことを言ったんですか?
ディー わたしの友だちがひどいガンだということがわかって、余命は4ヶ月から1年と医者に言われたんです。
私も肥大性心筋症と診断されて、いつなにが起こるか、わかりません。
TEDでも「わたしの最大の恐怖は、死ぬことではなく、死ぬことが分かってからの数日間」と言ったけれど、彼女はその時、リビングに置いた医療用のベッドにいたんです。最後の時に何を抱えるかという質問は、そんなことを考えながら発した問いなんです。
この問いは、私にとって重要です。なぜなら、死は誰にでも確実に起こることだし、死をそのように捉えることで、すべてが“縮んで”いくから。
菜央 その結果が、ディーさんの今の暮らしなんですね。
ディー わたしの場合は、小さな家に、モノがほとんどない暮らしをすることで、煩わされることが少なくなる。掃除とか、買い物とか。
「あれをやろう」「これをやろう」と、いつも自分自身のやることに集中している。それがシンプルでいつづけられる理由だと思います。
私にとってはあの家がそのようなシンプルな暮らしをするための“カギ”になっているし、お陰で毎日がワンダーにあふれている。それはわたしにとってすごく重要なことなんです。
感謝、謙遜、寛大
菜央 TEDxの動画で、「Gratitude(感謝)、Humality(謙遜)、Grace(寛大)」を強調していましたが、その言葉はあなたにとってどんな意味があるんですか。
ディー 知ってると思うけれど、今の消費主義社会では、人々は「何かを達成する」とか「進歩する」ということを人生の中心に据えない生き方をするようになっています。
そして同時に、感謝や謙遜の気持ちを持って行動する時間も非常に少なくなっています。
私は、そのことと、人々が病気になったり誰か大事な人を亡くしたりというような悲惨なことに直面した時に、精神的に打ちのめされてしまうことに関係があると考えています。
わたしは肥大性心筋症を患っていますが、病気の診断を受けた時、それを“リマインダー”だと捉えました。
そのことで私は自分と周囲との関係をもっといい関係にしていく必要があると気づいて、そのためにどうすればいいのか考え、それは今もずっと続いています。
たとえば、私の家では、バッテリーを充電するためには太陽が出てくれるのを祈るしかないのですが、ずっと雨が屋根を打ち続けていても、自然は驚くべき景色を見せてくれます。
自然はどちらにしても私を幸せにしてくれ、私はそのことに感謝します。だから私は自然に対して常に謙虚でいられるのです。
そのような体験を通して私は、いつも頭を「時間に間に合うかしら」というようなことでいっぱいにしている人たちから抜け出ることができたのです。
本当に素晴らしい経験を通して、スローダウンすることができたのです。
そして私は、私たちのお互いの違いから学ぶことが大事だと思います。そのように周りに寛大であることは良いエネルギーを生むと思うんです。
菜央 動画では、ずっとそんなふうに静かに、心にしみるような話をしていたのに、最後の最後に「double-dog dare!(「あなたにできる?」という挑戦的な言葉)」って言い放ったのがすごく面白かったです。どうして、最後にそんなことを言ったんですか?
ディー なんでという質問に答える話ではないけれど、一つ話をすると、私は仕事をやめてダウンサイジングしたような人たちの話を聞くのが好きなんですね。タイニーハウスに暮らしている人でなくても。
それで、あるとき一人の女性から手紙をもらったんですが、彼女と旦那さんは持ち物のほとんどを処分して、生活をシンプルにしていった結果、最終的にはウガンダに行くことになったんだそうで、そこで彼らはシードバンクをつくる仕事をしたんです。
そのシードバンクのお陰でそこに暮らす人たちは自分で作物を収穫できるようになって、それでベーカリーや、食堂や、ナチュラルマーケットをつくることができたって。それってすごく素敵じゃない? それに、それって、私に帰ってきた「double-dog dare」でしょ。
「double-dog dare」は、誰にでも「体制側」ではない、何かに挑戦するこだと思うんです。世の中には、「こうするべきだ」とか「これが常識だ」ということがあるでしょ? それがなんであれ、「体制側」に挑戦すること。それは怖いけど素晴らしい。自ら挑戦して、何かを自分自身で学ぶことができるんだから。
タイニーハウスムーブメントとビジネス
ディーさんがタイニーハウスに住むようになったのは、自分が病気であることがわかってからでした。それが「リマインダー」となり、シンプルな暮らしをするためにタイニーハウスに移り住んだのです。
その彼女と時を同じくしてタイニーハウスが広まり始め、それはムーブメントとなりました。
彼女はそのムーブメントにどう関わって来たのか、そして現状と未来をどう思っているのでしょうか。ここからは、日本でそのムーブメントを牽引しようとしている竹内さんも参加して、話が盛り上がりました。
菜央 タイニーハウスで暮らすことと、PAD(Portland Alternative Dwellings:タイニーハウスに住みたい人のためのワークショップや、書籍の販売、カウンセリングなどを行っているチーム。ディーさんと友人たちがやっている)のようなビジネスを始めるのは最初からリンクしていたんですか?
ディー いいえ。PADを始めたのは、近所に住んでいた男性がタイニーハウスを建てはじめたんだけれど、なんだか危なっかしくて。それでそういう人たちが技術的な基礎を理解するのを助ける仕組みを提供したほうがいい、と思ったから。
タイニーハウスは特別なことではないただの小屋だけれど、車で引っ張れば高速道路を走る事もできるので、やはり独特の建築方法があって、それについて情報を提供する必要はあると思ったわけです。
PADは人々を教育する手段としてスタートしたわけですが、私が子どもたちに私の家に来て欲しかったというのもありました。
そして、みんなに家のことについて改めて考えて欲しかったんです。みんな、家は大きいものだと思い込んでるんです。
私たちはタイニーハウスという、人生をシンプルにできる家というオルタナティブになかなか接する機会がない人たちに、そのきっかけを提供したい。
それが彼らを考えさせる、それがPADの始まりで、ずっと楽しんでやっています。
竹内さん 今、タイニーハウスはマーケットになりつつあると思うけれど、そのへんはどうですか。
ディー 確かにビジネスになりつつあって、そうできればもっと勢いがつくと思う。タイニーハウスの設計や施工をする建築士や会社もたくさん増えてきているし、アイアンイーグルトレイラーズ社はトレイラー(タイニーハウスと車をつなぐ台車)をつくっているし、シェルターワイズ社はタイニーハウスのエネルギー効率を上げるコンサルティングもやっている。
ほかにも、タイニーハウス向けの窓枠メーカーや、羊毛断熱を手がけるスタートアップも育ってきてる。そういうクールなビジネスが成長してきているのは非常にいいことだと思います。
シェルターワイズのデリンなんかは常にカーボンフットプリントやエネルギー効率について勉強していて、どうやってそれらを小さくするかを考えている。それが単なるタイニーハウス以上のものを生み出し、価格にも上乗せすることができる。そのようにして成長していくことが人々が望んでいるやり方だとも思うんです。
私はその一部でいられることが本当に幸せだし、今やあなた(竹内さん)もその一部なのよ。
タイニーハウスムーブメントの未来
竹内さん アメリカでは、2000年代半ば以降に起きたサブプライム危機とハリケーンカトリーナのあと、タイニーハウスムーブメントが以前より成長したように思えるけど、どうですか?
ディー ここ数年でムーブメントはもっと成長していると思います。その理由の一つは教育バブルが起きたことで、多くの人が教育にお金を使ったけれど、労働市場は依然として冷え込んでいて、職はほとんどない。人々はそれがどういうことかを理解しようとしているんじゃないでしょうか。
竹内さん タイニーハウスムーブメントの成長は経済的な理由によるものということですか?環境ではなく。
ディー 環境という要素ももちろんあると思います。地球温暖化のような大きな問題は、多くの人が理解しているより早く起きていることは確かで、今年の夏と秋には信じられない程ゴージャスな天候も経験しました。
変化は永続的ではないけれど、多くの人がそれを警告と感じていて、そこから行動を始めているとも思います。私が住むオリンピアの近くのカスケード山脈も雪が減ったけれど、オレゴンや北カリフォルニアではもっと雪が減っていて干魃も起きている。
それが現実としてあるのは間違いなく、避けることはできないのかもしれないけれど、人々は自分が変われると考え始めていて、それでタイニーハウスムーブメントや、パーマカルチャーやミニマリズムのようなものに惹かれるようになっているんだと思います。
菜央 少し具体的な話をすると、タイニーハウスではトイレがひとつの問題になると思いますが、ディーさんはどう対処してますか?
ディー 私はコンポストトイレを使っています。プラスチックのバケツです。
菜央 どのくらいの頻度で庭のコンポストに入れる?
ディー 週2回かな。バケツの中でなにが起きてるかによるけど(笑)。
でも、コンポストトイレは、世の中のトイレの仕組みが実際どのようななっているのかを考えるきっかけになりますね。
まず、トイレで大量の水を使うし、下水を街中に張り巡らせて維持するために、とてつもない金額のお金がかかります。水と固形物を分離して、乾燥させて、焼却する。環境負荷も大変に大きい。
コンポストトイレは、お金がかからないし、下水のシステムにも依存しない。庭の作物を育てる養分にもなる。だから、コンポストトイレはタイニーハウスの非常に重要な一部なんです。
エネルギーの浪費は本当に問題で、タイニーハウスは暮らし全体として、エネルギーの節約にもなります。
今、いくつかの街の行政の環境部門と仕事をしていますが、下水道につながないコンポストトイレを法的に位置づけてもらえるよう、働きかけています。タイニーハウスは法的にまだ定まっていないけど、まずはトイレから、という作戦です(笑)。
菜央 タイニーハウスムーブメントの未来はどのようになると思いますか。
ディー どんな時代にもお金を儲けようと思う人はいて、それによって運動が魂を失ってしまう可能性は常にあります。でも、タイニーハウスを自分で建てようというようなクールな人たちが自分たちしっかりとマーケットをつくっていったなら、そういうことは起きないと思います。
知名度は徐々に上がっていくだろうし、少しずつ支援も受けられるようになるでしょう。市とか県が風景の一部としてタイニーハウスを誘致するようになるんじゃないかと思います。
この間、ちょうどオリンピアの市議会のグループに話をしてきたんですけど、その理由の一つは、わたしたちのタイニーハウスなんかについて市が電話でたくさんの問い合わせを受けるからだったんですよ。
都市計画の担当者の一人は、タイニーハウスを建てたいウィスコンシンのカップルと電話で1時間も話したと言ってました。忙しい担当者には気の毒だったけど、それってすごくクールじゃない?
日本のタイニーハウスムーブメントはどうですか?
菜央 一般的に言って、僕たちはある意味、お客さん意識が高い。だから、アメリカとは違う困難さがあると思います。
DIYは自分で決める自由を得る代わりに、それに伴う責任を引き受けなきゃいけない、そういうものだと思うけれど、そういうマインドを持った人は、まだまだ少ない。
だから、僕たちにとっても、チャレンジなのかなと思います。でも、数十年前のことを考えれば、みんな自分たちで家を建てていたわけだし、可能性は十分にあると思いますね。これからが楽しみだね!
ディー 育ちつつあるムーブメントに私も参加できて本当に興奮してます。大丈夫、タイニーハウスに関わるものはみんなかわいい。可愛い物を嫌いな人なんていないでしょ?
「大きい家=成功」という構図が日本でもアメリカでも長い間信じられてきました。しかし、それは大量生産大量消費が成立し、社会全体が右肩上がりに成長し続けられていた時代の話。今、世界の成長に限界が訪れていることは間違いなく、人類はどこかでダウンシフトしなければなりません。
それを実現するためには、私たち一人一人がどこかでそのことに気づき、単に概念としてではなく実感として感じ、自らの生き方に落としこんでいくことが必要なのでしょう。ディーは自らの病気というつらい経験からそれを実行し、結果的に幸福な生き方を手に入れることができました。
私もそうですが、みなさんの多くも「わかってはいるけど、なかなかその一歩を踏み出せない」と感じているのではないでしょうか。
もちろん既に実行している人もいるでしょうが、そうではない人のほうが多いと私は感じます。菜央さんもタイニーハウスを買う契約書に判子を押す前に2〜3日悩んだとも話していました。それだけ「小さい暮らし」へと踏み込むことは勇気がいることなのです。
ディーはわたしたちに「あなたもやってみなさいよ」と挑戦してきます。それはそうすることが困難だということがわかっているからであり、ひとりでも多くの人の背中を押すことができればと願っているからなのです。
私は、ディーと菜央さん、竹内さんの話を聞きながら「焦ることはない」とも思いました。ディーも言うように「考え方をシフトすることのほうが大変」なのだから、しっかりと考え方をシフトできたと実感できてから生き方もシフトしていけばいいのです。
ディーのような素晴らしい見本がいるので、やってみれば意外と簡単にできてしまうのではないか、だから心の準備ができた時、その挑戦に応えればいいのだと思うのです。あなたは、どんなことから、はじめてみますか?
ディー・ウィリアムズによる、TEDxトーク動画と英日対訳
最後に、ディー・ウィリアムズによる、TEDxトーク動画と英日対訳を、鈴木菜央さんがつくってくれました。楽しんで!
TEDxConcordiaUPortland – Dee Williams – Dream big, live small
TEDxコンコーディア大学 ポートランド – ディー・ウィリアムズ – 夢は大きく、暮らしは小さく
I want you to take a moment, I mean we’ve been talking about sustainability, kind of retooling ourselves, rethinking about what we want in the world.
今日はみなさんの時間を少し下さい。私たちは自分自身を変えていくとか、どんな世界を望むのか?ということを考えなおすといった、言ってみれば持続可能性についての議論をしてきました。
And I want you to take a second and think about what new purchase, what item would you want to hold in your arms, as you die.
そして、少し時間をつかって、考えてほしいんです。なにを新しく買いたいか?なにを胸に抱いていたいか?……死ぬ時に。
What favorite room in your house, or a space, could accommodate that last breath?
どの部屋、空間が一番好きで、居たいと思いますか?……最後の息を吐き出す瞬間に。
Can you imagine how our consumer patterns would change, and how small our houses would shrink if we asked those questions a little more often?
こんな問いかけを自分にもう少し頻繁にしたら、どれだけ消費行動のパターンが変わるか、家が小さなものになっていくか、想像できますか?
But that scares us.
でも、考えることは怖いですよね。
We don’t want to talk about that stuff.
みんな、そういうことは話したくない。
It’s the yucky stuff.
不快ですよね。
Our mortality, we’ll deal with that at another time.
誰でも、いつかは死ぬ。「それはいつか考えよう…」
But I’ve got some experience with this, so I want to share with you.
でも、私はそういうことを経験したので、みんなとシェアしたいと思います。
And I’m really nervous to share it because we don’t go there.
So I’m looking out and I’m asking you guys to just hold me for a moment.
それで、今とてもナーバスになってます。だからみなさん、私を暫くの間、支えて下さい。
Several years ago, I was diagnosed with heart muscle disease, cardiomyopathy, congestive heart failure.
数年前、私は心臓の筋肉の病気、肥大性心筋症、うっ血性心不全です。
And if you’re not familiar with what happens with congestive heart failure, your heart starts to beat erratically, and then it gets harder to pump, it’s working hard, but it’s rigid.
うっ血性心不全が起きると、心臓が不規則に脈打ち、血液を送り出すことがむずかしくなります。
All of a sudden, your liver, your kidneys, they’re not getting oxygenated.
突然、肝臓、腎臓に酸素が供給されなくなります。
Your brain is not getting oxygenated.
脳にも、酸素が行かない。
Your lungs start to fill with fluid, and you die.
肺にも液体が満ちて、あなたは死にます。
That’s my fate.
それが私の運命。
Maybe.
かもしれない。
Two million people die every year.
1年に200万人が死にます。
You never know.
誰も、なにが起きるかわからない。
But it’s the thing that scares me, and I have to be honest, it’s not the idea of being dead that frightens me.
でも、私が怖いのは、正直に言えば、死ぬことが怖いわけじゃないんです。
It’s the couple of weeks, or couple of days leading up to it, that scare the crap out of me.
死に向かう数週間、数日が、恐ろしいのです。
I have this fear that I’m going to end up in one of those hospital beds, in my friend’s living room.
最終的に病院のベッドに横たわるのか、友だちのリビングルームにいるか。
All the sudden, I’m going to have learn what it means to have true humility, and true gratitude, as they change my diapers, and they feed me, and they change my clothes, like I’m a baby.
私はまるで赤ちゃんみたいに、誰かにおむつを換えてもらい、食べさせてもらい、服を着替えさせてもらう。その時が来た時、私は本当の人間性、尊厳とはなにか?ということを学ぶことになるでしょう。
I’m going to have to discover true love, as they tell me that they’re so glad they’ve had this time to walk with me.
彼らが一緒にこの時間を共に過ごせたことを本当に感謝する、と言ってくれる時、私は本当の愛とはなにかを知ることになるでしょう。
It seems to me it’s going to take great courage to die in my friend’s arms.
友の腕の中で死ぬことは、とても勇気がいることだろうな、と思います。
So how do you deal with that?
あなたは、その事実に、どう向き合いますか?
Seven years ago, my answer was to build a little house.
7年前、私が出した答えが、小さな家を建てることでした。
I got rid of my mortgage, got rid of most my personal possessions, and downsized myself into a little tiny house.
One bedroom, four wheels, seven windows, 84 square feet of living space.
ローンを処理して、モノのほとんどを処分しました。ベッドルームがひとつ、車輪が4つ、窓が7つ、暮らしのスペースは、8㎡。そんな小さな家に収まるよう、暮らしをダウンサイズしたのです。
It’s got everything I need: place to cook, place to pee, place to hang out, place to be Dee Williams, (Laughter) place to sleep.
必要なものはすべて揃ってるんですよ。料理する場所、おしっこする場所、友だちと語り合ったりする場所。ディー・ウィリアムズでいる場所(笑い)、寝る場所。
My kitchen is not really elaborate, I’m off the grid.
キッチンは単純です。オフグリッドなんです。
So I don’t have a refrigerator, I have a cooler.
冷蔵庫はないけど、ビールを冷やすクーラーはあります。
Beer half-and-half, what more do you need? (Laughter)
ハーフ&ハーフ、他に必要なものなんてある?(笑い)
And that’s it.
そして、それだけなんです。
That is really true. (Laughter)
本当に。(笑い)
Specially right now, it’s like I had to have this morning — coffee, — that I’m really looking forward to a beer.
今朝はコーヒーを飲んだけど、ビールが早く飲みたい。
My kitchen has a one burner stove.
キッチンはバーナーがひとつ。
I’ve never been a good cook, I will never be a good cook.
料理は上手じゃないんです。これからも上手にならないと思います。
I let go with that mess.
料理で汚れるキッチンはいらない。
I don’t need a chef’s kitchen to make me happy.
シェフのキッチンは私にとっては必要ない。
The bathroom.
トイレ。
So you walk in my house, I’ve got my kitchen layout.
The bathroom is directly across from it.
家に足を踏み入れると、キッチンがあって、その向かいに、トイレがあります。
One thing you’ll notice is missing, it’s the little flushy part of the toilet.
そこで、何かが足りないと思うでしょう。水を流すアレです。
I have a composting toilet which — OK, feel the love, Portland, it’s a bucket. (Laughter)
コンポストトイレなのです。OK,ポートランドのみなさん、愛を感じてください。ただのバケツです。(笑い)
So I shower at my neighbor’s house or at work.
なので、お隣さんの家か、仕事場でシャワーを浴びます。
I don’t have water coming into my house, that way I don’t have to deal with water going out of my house.
私の家には、水道が来ていないのです。なので、下水についても、考えなくていいわけ。
This is my living room, and it’s gotten an 11.
5 foot ceiling.
これが私のリビングルームで、天井の高さは3.5m。
So even though it’s only about a six by six foot space, it’s got a lot of room.
なので、1.8m四方しかなくても、とても広く感じるんです。
You know, it’s got this skylight up above it, I can see everything that’s going on.
それから、天窓がついているので、外でなにが起きているか、全部見えます。
It’s an awesome place to hang out.
そこにいるだけで、最高に楽しいんですよ。
What I don’t have is enough room to do the Bollywood dancing, that we’re going to do later. (Laughter)
足りないとすれば、ボリウッドダンスを踊るスペースかな。それは後でやります。(笑い)
But I wasn’t very good at it, anyway. (Laughter)
下手ですけどね(笑い)
My sleeping loft.
ロフト。
So every night, and especially in winter, I carry my dog up a seven foot ladder into the loft.
毎晩、特に冬は、飼っている犬を持って、2メートルのはしごを登ります。
And, you know, I can’t stand up upstairs, which is fortunate because, you know, how many times have you cracked your toes on a doorjamb? (Laughter) On the nightstand?
お察しのとおり、ロフトで立ち上がることはできません。でも、それはいいことなんです。夜起きて、ドアや読書灯に小指をぶつけたこと、あるでしょ?(笑い)
I don’t have the health risk involved with it, (Laughter) a room that you stand up in.
そういう、立ち上がることの健康上のリスクがないんです(笑い)
This area, this space in my house is my favorite space.
この場所は、私のお気に入り。
You know, looking out that skylight window, I can see the ever expanding universe.
天窓の外をみると、無限に広がる宇宙が見えます。
And I don’t know what it is about being elevated up above, you know, everything else that’s going on around you, but, all of a sudden, something shifts, and your problems start to look like little ants, which is really fortunate.
(そこから)空に浮かび上がっていくと、自分の中で突然なにかが変わって、いろんな問題や課題が、小さなアリのように小さく感じられる。それは本当に幸せなこと。
And the rest of the world starts to kind of have a stretch to it, a nice horizon, and everything seems to expand out in a way that gives you enough time and space to kind of contemplate why you’re here.
で、見えている世界はきれいな地平線に収束していって、人生を煩わせるいろんなことも消えていく。そうすると、なんで私はこの世界に存在しているのか、じっくり考える余裕がでてくるんです。
Are you doing the work that you can do?
仕事は、あなたができること?
Are you being the person that you can be?
あなた自身はあなたでいられてる?
Are you learning about really important things like humility, gratitude, grace, how are you living that?
謙虚、感謝、尊厳のように、本当に大事なこと学んでいますか?それらをもって、生きていますか?
I’ve been really surprised, just shocked actually at how much nature has played into my life.
タイニーハウスに暮らして、自然の素晴らしさに、改めて驚きました。
You know, I’ve always been an outdoor person.
私はずっと、アウトドア好きでした。
I love being outside, but I didn’t realize that there are 9,000 different ways that it rains in the Pacific Northwest.
外で過ごすことが大好きだったんです。でも、アメリカ北西部では、9000通りの雨の振り方があるなんて、知らなかった。
Having a roof directly over my head, a metal roof, has changed the way that I feel about the rain.
頭上すぐにある鉄製の屋根が、私の雨に対する認識を変えました。
And I want to just give you guys an idea what it sounds like.
みなさんに、どんな音がするか、感じてもらいましょう。
Just rub your hands together.
手と手をこすりあわせて。
It’s a little light rain, little light rain, maybe even sleet.
小雨。ちょっとした雨、みぞれかも。
Then it starts getting a little harder, that’s more like November, probably December, (Laughter) stretching into January.
それから、すこしずつ雨が大きくなって、11月、そして12月(笑い)、1月。
Thank you, thank you. (Laughter)
ありがとう!(笑い)
That’s more like January, February, March, April, most of May this year. (Laughter)
1月、2月3月4月、今年の5月みたいだったね。(笑い)
Isn’t that awesome?
最高じゃない?
We’re so lucky that we get that much rain. (Applause)
これだけの雨が降って、ラッキーだったね。(歓声)
Exactly, exactly! (Applause)
本当に!(歓声)
This a picture of frost.
これは、霜の写真です。
I sleep without the heat on, in part because I’m afraid — I have this little propane heater and I’m afraid that it’s going to explode in the middle of the night.
夜はヒーターを消して寝ます。プロパンヒーターを持っているんだけど、夜中に爆発するんじゃないかって不安で。
So it scares me.
怖いの。
So this is frost on the window.
だから、これは凍りついた窓。
I also get treated to wind in the eaves.
軒に風が当たる音を感じたり。
I know exactly where the sun comes up in the morning, in the summer time, and where it sets in the evening in the winter.
太陽が夏の朝にはどこから登って、冬の夕暮れにどこに落ちるか、正確に知っています。
And I didn’t have that relationship before.
そういうことは、昔は知らなかった。
And I think that’s opened some stuff up for me, in order to deal with and to help me understand my place in the world.
そういうことが、私の目を開いてくれたし、世界のどこに自分がいるか、理解できた。
The other part of it is I live in community.
コミュニティに住んでいます。
My house sits in somebody’s backyard.
私の家は、誰かの裏庭に置いてあります。
They’ve gifted me the opportunity to live with them.
ありがたいことに、裏庭に家を停めていいよ、と言ってくれて。
We have three households that share the same garden space.
ガーデンを、3軒の家で共有しています。
My friends, Hugh and Anny, and their kids live in one house.
友人のヒューとアニーと子どもたちがひとつめの家に住んでいて。
Hugh’s elderly aunt, Rita, live in the next house, and together our three households make a common compound.
もう一軒の家に、ヒューのおばさん、リタが隣に住んでいます。この3軒が同じ敷地にあります。
And, you know, I’ve learned a tremendous amount of what it means to live in community, by letting go of my autonomy.
自立を手放して、コミュニティの中にすむことから、途方も無いほど、多くのことを学びました。
Something changes for you, kind of fundamentally shifts for you when you have to ask for water everyday.
水を毎日誰かにもらわなきゃいけない暮らしは、根源的な変化をもたらしてくれます。
So that’s been a tremendous gift.
それは、とても大きなギフトです。
I have so many other things I want to say, but I need to stop.
他にも言いたいことがたくさんあるけど、このへんでやめておきます。
I’m not done yet, but I do want to stop.
まだ終わってないけど、もう終わり。
So this is my heart, and this is something we all have in common.
なので、これが、私の気持ちです。これが、みんなの心のなかに有ること。
This is something we all share.
これが、みんなが共有していることです。
Today our hearts will beat eighty two hundred thousand times,
今日一日で、心臓は82,000回脈打ちます。
pumping three tons of liquid through little tiny dime-sized openings, filling out 30 miles of vasculature, animating all of our human bones, firing a billion brain neurons, making it possible for us to get up in the morning, brush our teeth, and say hello to our lover, and get in the car and go wherever we’re going to go.
3トンの血液を細い血管を通して送り出し、50kmもある静脈を満たして、骨を動かして、数十億の神経細胞を発火させて、朝起きたり、歯を磨いたり、自分が愛してる人に「ハロー」って挨拶したり、クルマに乗ったり。
Our hearts are a powerhouse, a miracle.
私たちの心臓は、ミラクルを生み出す発電所なんです。
And they do all of this work without much thought from us,
心臓は指令なしに、これらのことを全部やってくれるんです。
without much help from any bit of human technology.
人間がつくったテクノロジーも必要ありません。
And we get this one shot at life.
人生は1回きり。
We get this one chance to discover our soul.
魂を見つけるチャンスも、1回だけ。
This is something we all share.
これは、みんな平等です。
And I double dog dare you guys, as you move forward in your day, as you move forward in your life, to access what it means to be human and alive today.
そして、私はあなたたちを挑発したい。これがあなたたちにできる? 毎日を生きる中で、前を向いて歩く中で、人間として存在する意味、今日を生きる意味を見つけ出すってことを。
Gratitude, humility, grace, there’s not enough of that going around.
今の世の中に足りてないものは、感謝の気持ち、謙虚さ、優雅さ。
Gratitude, humility, grace.
感謝、謙虚、優雅。
Double dog dare. (Applause) (Cheers)
これがあなたたちにできる?(拍手)
おわり
(翻訳:鈴木菜央)