大阪都心に建つ5階建てビルを、夫婦のワーク&ライフスタイルに合わせてリノベーション。部屋ごとに異なる内装を施し、生活と気分に変化をつける。
photograph_Takashi Daibo
A邸
(大阪府大阪市)
- 設計
- HAMADA DESIGN 濱田猛 + SHIKUMI 赤川貴世友
- 住人データ
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Kさん(34歳) インテリアデザイナー
Aさん(36歳) グラフィックデザイナー
新築一戸建てや一戸建て・マンションリノベーションも視野に入れ、大阪市内で土地や中古物件を探しまわっていたある時、親戚から「所有しているビルに賃貸で住まないか?」という話が持ちかかった。
当初の狙いはマイホームでしたが、なかなか予算内で手頃な不動産が見つからず、1年が経っていました。賃料も魅力的だったし、5階建てのビルなんてめったに出会えない物件。面白いことができそうだったので、その話にのることにしました
と話すのはKさん。親戚からリノベーションをする許可を得て、プランや内装はインテリアデザイナーであるKさんと、奥さまのAさんが中心になって考え、具体的な設計についてのアドバイスを大学時代の先輩で建築家の濱田猛さんに依頼することにした。
建物は1階にテナントが入り、2階以上は25㎡+階段室というコンパクトな間取り。「来客のあるワークスペースは2階で、買い物の荷物を4階まで持って上がるのは大変だから3階にキッチン。最上階は暑いからインナーバルコニーとして使い、寝室は4階へ…」というふうに、生活上不便がでないように、夫婦でシミュレーションを重ねながら、必要な空間を割り振っていった。
インテリアは各フロアでイメージを変えている。たとえば、2階のワークスペースは、オフィス家具のクールな雰囲気に合わせてコンクリートブロック壁をむき出しにしたり、色の濃いラワン合板を張ってラフな内装に。
一方、プライベートな空間であるキッチンやダイニング、寝室のあるフロアには、シナ合板や白塗装など、やわらかい雰囲気の仕上げを施し、シンプルで明るい色味の家具を揃えた。
一室が狭く、全部同じつくりなので、フロアごとに調子を変え、いろいろな気分を味わえるようにデザインを考えました(Kさん)
階段室では、グラフィックデザイナーであるAさんの作品を飾り、ギャラリー感覚を楽しんでいる。
各部屋への行き来や掃除は普通の家より大変ですが、ダイニングで友人を招いてパーティしたり、お風呂上がりにインナーバルコニーでお酒を楽しんだり、仕事が忙しい時はワークスペースにこもったりと、場所を変えることで気分を切り替え、いろいろな過ごし方ができるのがこの家のいいところです(Aさん)
専門家プロフィール
1975年大阪府生まれ。2003年京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科造形工学専攻修了。03~05年 株式会社コンパス建築工房。06年~株式会社濱田設計測量事務所。一級建築士、インテリアコーディネーター、京都工芸繊維大学非常勤講師、聖母女学院短期大学非常勤講師。
大阪府生まれ。京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科デザイン経営工学専攻修了。現在、株式会社 安井建築設計事務所勤務。設計部にてインテリア担当として、公共建築などのインテリアデザインを手掛ける。
HAMADA DESIGN 濱田猛 + SHIKUMI 赤川貴世友
- TEL
- 072・823・7935
- FAX
- 072・825・1287
- hamada@hamada-design.com
- URL
- www.hamada-design.com
〈物件名〉A邸〈所在地〉大阪府大阪市〈居住者構成〉夫婦〈建物規模〉地上5 階建て〈主要構造〉鉄骨ALC 造〈建物竣工年〉1985 年〈建築面積〉約30.00㎡〈床面積〉2 ~ 4 階 各約30.00㎡、合計 約120㎡(店舗部分除く)〈設計〉HAMADA DESIGN 濱田猛 + SHIKUMI 赤川貴世友〈施工〉ジェイ・プランニング〈設計期間〉約3 ヶ月〈工事期間〉約5 ヶ月〈竣工〉2013 年
※この記事はLiVES Vol.77に掲載されたものを転載しています。
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