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敷地は郊外の新しく造成された分譲地に位置した旗竿形状の敷地で、周囲は低層の新しい住宅が建ち並んでいる。
西側は9.5mの道路に面し、東側には老人ホームの駐車場があり、比較的ゆとりのある周辺環境ではあるが、外に開くには周囲の視線が気になる場所である。

分譲地において、プライバシーの確保と採光通風を両立させるために、外部をどのように住宅の中に取り込むかが課題と考えた。

旗竿敷地奥の整形部分に建物を配置し、中心に中庭を設けている。1Fでは諸室が中庭をロの字に囲み、2Fでは諸室をコの字に中庭からセットバックして配置することで、1Fの中庭と2Fのテラスを連続する外部として建物に内包させている。
全ての居室が中庭やテラスに面し、1Fから2Fへ平面方向と断面方向に拡大した外部が空を諸室に取り込む住宅となっている。

1Fの旗竿の竿部分は住宅へのアプローチ兼、来客用の駐車スペースとなっている。目隠し壁のあるポーチから玄関に入ると、正面に中庭があり、2Fのテラス越しに視界が空へとつながる。中庭を中心に玄関、SIC、手洗場とWC、LDKとパントリー、ガレージをロの字状に配置し、回遊性のある平面となっている。1F外周部に設けた地窓は、夏場、冷たい空気を足元から取り入れ、2Fの上部開口部と合わせた煙突効果で風を通し、そして敷地外縁へと視線を連続させる効果をもたらしている。

中庭に面した玄関脇の稲妻階段を上がると2Fの前室につながる。中庭から連続しつつ拡大された2Fテラスに面して、主寝室、こども部屋が南側に配置され、西側に前室、北側に洗濯室、水廻りをコの字状に配置している。
屋根は中庭側を水下とした勾配屋根としたことで、周囲の建物を遮りながら、視界を空へと広がる。
室内では天井が外周側に向かって高くなる勾配天井となっており、外周側の外壁に設けたハイサイドの開口部とテラスの開口部で、通風と外部への視界を確保している。また、居室間の扉上部に欄間を設けることで、中庭の光を居室に取り込んでいる。

郊外の分譲地において、断面的に連続する中庭を内包した住宅とすることで、周囲の視線を気にせず、開放感を感じられ、光溢れる住宅が実現している。

有限会社atelier A5建築設計事務所

清水 裕子+清水 貞博+松崎 正寿

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