リノベーションの計画を進めていく中で、「何もかも新しく作り変えてしまうのであれば新築で良かったわけで。」というクライアントの言葉。
そこで残すべきは元々の建物が持っている「懐かしい怪しさ」だと考えました。
そこには新しくは作れない価値があると感じています。新しい部分と元々の部分は敢えて有機的に交わらせることはせず、天井を含めた外皮はなるべくそのまま残し、その内側に新しい部分を作っています。
空間の中央には本好きな住人のための本棚があり、そこに置かれる本や物によってより住人の個性が空間に現れ、またそれは時を追うごとに変化するインテリアとなります。
住人らしさから作られた新しい要素と元々ある価値を等価に扱い構築しなおすことでその怪しさを残しつつ、また新しい住人らしい空間を模索しています。
建物の耐震性、剛性を高めるために屋根に梁を足し、その上は子供たちのためのロフト空間となっています。
見た目には一見簡素な天井は二重天井として外断熱を施し、壁、床にも十分な断熱を施すことで安心して「古さ」を楽しめる家としています。
写真:笹の倉舎/笹倉洋平
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