東京都内で計画中の住宅。
敷地周辺は、武蔵野台地の先端に位置し、低地面である谷が複雑に入り組んで、舌状の丘を作り出しているエリアである。
谷部分の最奥部に位置する敷地周囲は特に高低差が大きく、近辺を歩くことで地形を肌で感じることができる。
我々は、間口が狭く奥行が長い敷地に対して、接道面に植栽ポットを一層分立ち上げて、住宅内部へのプライバシー性を高めつつ、
周囲に対して樹々が生い茂る柔らかいファサードを作ることを提案した。
樹々を見上げる植栽ポットの隙間を「谷」と見立てて住宅へのアプローチ動線とし、高さを抑えたほの暗い印象の玄関と階段を抜けると、
通ってきた植栽帯が庭となり、目の前に緑が広がる「丘」の上を感じさせる明るく開放的な空間が待っている。
地形のダイナミズムを住宅に取り入れた、「谷」から「丘」へ至る住宅である。
構造的には、RCの腰壁を段状にレベルを変えながら設け、その上に高さを揃えた門型の木造フレームを載せることで、庭側に耐力壁を設けず、南北に抜けた開放的な作りとできている。
四段の屋根のレベル差から生まれる隙間で採光を確保し、家の奥まで光に満ちた計画とする。
樹々の間を抜けてくる風を南から取り入れ、最も高さのある北側の奥から抜く通風に配慮した窓配置を計画し、
上方に溜まった暖気はダクトで下階へ循環することで、極力空調に頼らない計画としている。
周囲の地形や敷地の特徴を、家の作り方と接続させる。
「谷」から「丘」へと続く空間の流れを通じて、土地との一体感を感じられる暮らしを目指している。
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