奥行きの深い敷地は閑静な住宅地に位置するが、集合住宅や駐車場に隣接しており、今後の隣地の利用のされ方に配慮が必要となる環境である。周辺の土地利用、開発に影響を受けない開放的な住環境が求められた。
住むために、敷地とその周辺、内と外、自分と他人、異なる機能毎になんらかの境界が必要とされる。それぞれの境界が交わらずに敷地境界から内側にオフセットされることで、各境界の内外を連続するランドスケープとして扱い、周辺から影響を受けない開放的な住環境を目指した。
隣地境界の既存ブロック塀とそこからオフセットされた2層分の連続するメインの構造壁との間は、連続する設備スペースとして都市ガス発電機や燃料電池、室外機等が配置されている。この構造壁の西側は収納やトイレ、階段、キッチン、上下階の空気置換設備等がリニアに内包され、緒室にその機能を提供しつつ、機能を柔らかく分節している。1階では更にオフセットされた独立した構造壁の中に納戸とSICが配置され、それらによって玄関、寝室、書斎等が分節され、その周囲を駐車場、ポーチ、中庭といった外部が取り囲んでいる。1階の連続する内包された外部は形を変えながら上空へと連続し、グレーチングのテラスとして2階のLDK、水回りを取り囲んでいる。広い屋上にはペントハウスとして、寝室や客間の和室を配置している。
敷地境界を形を変えながら入れ子状にオフセットさせることで、周辺の影響を受けない、敷地を内包した水平方向、断面方向への開放性を獲得している。
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