当敷地は住宅密集地であり、周辺は疎らに
建替えが進んだ状態である。
都心の多くの住宅地は準防火地域内にあり、
開口部を防火設備にしなければならない。
網入りガラスの認定サッシ、シャッター付き
サッシが原則で、木製引戸などの設置は
困難である。
また法的な採光が確保しやすい道路面の
大きな開口部は、シャッターが閉めっ切り
になった住宅をよく見かける。
それと同時に建蔽率が厳しいため
狭い建坪に加え、空地をどのように利用
するかも鍵となる。
そのため開口部の課題をも解決させる、
防火構造の壁で囲んだ中庭ならぬ
『マエニワ』を計画した。
『マエニワ』は、1:庭であり、
2:玄関アプローチであり、
3:開口部の防火措置なし
という機能を持つことができた。
また『マエニワ』のウッドデッキは、
リビング内から延長させ一体感を作る。
玄関廻りは内外の中間領域と位置づける。
玄関を切り離さずリビングの一部として機能
させることで、建蔽率による奥行の解消と、
一体的に繋がる外部空間の確保が可能と
なった。
〈大開口の木製引違い戸〉 ←都心の密集地では難しい木製大開口
〈マエニワ=玄関 兼 庭〉 ←都心の密集地では難しい庭
〈ワンルームリビング〉 ←キッチン・リビング・ニワがひと続き
都心では狭小住宅でなくとも、プライベートな庭を設けることは非常に難しい。庭ができたとしてもリビングは開放的に庭とひと続きとなっているでしょうか。延焼ラインにかかった開口部は防火上の制限をかけられます。この事例では、法令を遵守したうえで、プライベートで開放的な庭をつくることができました。道路に面したリビングの引違いサッシがずっとカーテンやシャッターで閉じられたままの住宅では、何のための窓かと思ってしまいます。都心でも気持ちよく暮らしたいですね。
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